紫煙八景・受動の域

「カマキリにヤニを舐めさせると、酔う」
とにかくソースが思い出せない。
何かの漫画に書いてあった気がするが、ネットで検索してもひっかからない。
嘘かもしれない。
だけど、この話でいぢりポイントとなるものは、その真偽にそれほど左右されないので、安心だ。
なんたって、カマキリなのである。
この話は。
「カマキリは、何かを口に付けられると、舐めてしまう。」
この点に尽きる。
このことは、カマキリに
「口に付いたものを拒否する考え」や、
「口に付いたものを拭き取る機能」がないことを意味している。
かなり潔い昆虫である。
もし、何かの縁でカマキリと心中を図らなくてはならないときは、毒の入った暖かいお茶などでよいだろう。
彼女がそのコップに口を触れたとき、心中躊躇の懸念は消え去る。
咀嚼も嚥下も貴方次第。
そういえば、蚊は「吸い続ける」ことしかできないような話を聞いたような気がする。
蝶も細長い口を持つが、あれは毛細管現象かなにかで液状のエサを吸い上げているような話が、艦内放送で流れたことがあるような気も。
どちらも、「何か知らんけど、勝手においしいものが上がってきました。」感がある。
もちろん、それらが「動物の皮膚」「花」にたどり着いての行動であるならば問題はないが、何故かそれが「たばこのヤニ」だったら、彼らはカマキリのように拒否権がないのかもしれない。
今度、たばこをたくさん吸う人の口を、よく観察しようと思う。

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