試食品コーナーは、そのスーパーにおける「顔」である、といっても過言ではないだろう。
それだけ人々の心を躍らせ、惑わせ、時には羞恥心を持たせる催しは、そうはない。
あとはコロッケのディナーショーくらいだ。
そんな試食品コーナーに、知られざる人物の影が見え隠れしていることに一体どれほどの消費者が気付いているだろうか。
ミツヨ(49)の朝は、一杯の熱いコーヒーからはじまる。
「最初はいやだったですよ。知り合いに会うんじゃないかって、そればかり考えていました。でも、すぐに面白さを感じるようになりましたね。」
仕事場であるスーパー「フレッシュストア膝栗毛」に着いたミツヨは、開店前の店内をゆっくりと歩く。
「どれだけうまく演じられるか、ですから。この仕事は。」
店が始まると、すぐにミツヨは仕事に取り掛かった。
早くも試食品コーナーでは、ソーセージの焼けたいいにおいがし出した。
ミツヨはそれを少しずつ、食べる。
試食品コーナーでは、最初の一人が入ると成功と言われる。
彼女の仕事はその「最初の一人」を演ずることである。
ミツヨの食べる姿に誘われたのか、ひとりふたりと足を止めるようになった。
スーパーマーケットは消費者がそのニーズを満たしたらすぐに店を去るという場所ではない。何となく同じ場所を何度も通ったり、長い時間買い物をする客もいる。
そうした人たちに意識されてしまうと、逆に違和感をもたれてしまう。うまく店内を回ったりしなくてはいけない、呼吸が重要な業種だ。
新入りのミホには苦い経験がある。
「あの時は本当に参りました。」
前に務めていたスーパーで、あまりに試食品のウケがよくなかったため、ずっと試食品を食べてしまった。
躍起だった。
30分後、彼女は万引きGメンに「試食品を食い続ける女」として捕まってしまったのだ。取り返しの付かない汚点。
「でも、あの時に、この仕事を続けようと思ったんです。」
彼女はプロとして、捕まったときも言い訳せず、店長室までの距離を「試食品を食い続ける女」として歩いたのだった。
「店側から見ればGメンも私も、絶対に知られちゃいけない存在、MIBみたいなものですよね。だから、こういうこともしょうがないとわかっています。店もプロですからね。」
そう言う彼女の目には、すでにつまようじが映っていた。
ミツヨのおかげで、ソーセージは飛ぶように売れた。
「商品がいいからですよ。私は、皆さんのトリガーになっているだけ。」
必殺試食人と呼ばれて久しい彼女は謙遜するきらいがある。
しかし、それも自信の表れではないだろうか。(nim)
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試食をさせる側にいた人間にとってみれば、
ミツヨの存在は邪道でしかない。
売り子が良ければ客は自然とやって来る。
試食品は細かく切れ!
できたてをガンガン補充!
つまようじは取り易いように工夫しろ!
傍で声出しはあたりまえ!
らっしゃいまーらっしゃいまー本日はイカの唐揚げが大変お安くなっております。
試食もやっております。どうぞご賞味くださいませー!
はい、お買い上げありがとうざいます。
あ、テンプラはあちらにございます。
ありがとうごぜーます。
ありがとうごぜーます。
えー、ただ今より惣菜コーナーにおきまして、ロースカツのタイムセールを行います。
通常一枚398円のところ、298円で販売しております!
みなさまどうぞお立ち寄りくださいませー!
あれ、なんの話だっけ?
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カルス氏が、なぜかお昼にコメントくれることについての話です。
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昼休みを利用して書き込んでいます。
なんかボケた方が良かったかしら。
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商品を売り込んだり試食させる人を、マネキンといいます。
ちなみに人形じゃないよ
マネキンさん達にも数々のテクニックがあるそうな…
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>>あきひと
マネキンさんテクニックその1
「親子連れなら子供に食べさせろ」とかありそうだ。