なぜか台北 その52

【あらすじ】
台湾旅行。
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りすが印象的だった寺院をあとに、次は「蒋介石」の何らかの記念館に行くとの事。
正直、台湾旅行のプランすら何も考えていなかった僕にとっては、あまりに蒋介石に対して前知識がなく、唯一あるとすれば「うちの母方のおじいさんの若い頃に似ている」くらいで、とにかく仕方がない。
そんな仕方なさがバスの進行を妨げるはずもなく、僕は中正紀念堂の広い敷地の一角に直立した。
ちょっとしたお城のようなその建物の壁面は白く、午前中だというのに金星のように暑いこの国の気候によく合う。
ガイドさんに連れられて建物へ向かう一行とはわざとはぐれて、敷地を散歩してみる。
白い、暑い。
それが繰り返される。
なんか分からないが高校球児みたいな気分だ。
いや、僕が高校球児であった時期はなかったのだが、ともかくそんな気分になった。
白いボールを、追っかけていたかいや追っかけていなかった。
集合時間とバス待ち合わせについて不安になってきたので一行と合流。
謎のエレベータに誘われるままに付いていくと、兵士に守られた巨大な蒋介石像のある部屋が目の前に現れた。
その像は、リンカーン座像をイメージすれば間違いない感じ。
外の強い日差しを部屋から眺めていて気持ちよさそうにしている。
僕らが来た時、ちょうど兵士の交代の時間だったらしく、彼らは恐ろしいほどの形式張った交代儀式を、恐ろしく時間をとって行う。
それぞれの動きに意味があるのだろう。
見ていてかっこいいのだが、一方では大変そう。
そんな儀式を見守る観光客たち。
そして蒋介石像は思う。
「外、暑そうだなあ」
こういうことなら、この兵士達には僕らが思っている以上に存在価値があるというものだろう。

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