実家通い

子供ながらに思ってた。
「カブトムシの背中にある注射痕は何なんだろう」って。
お父さんに聞いてみたら、あれは標本にされるぎりぎりのところを抜け出してきた跡なんだよって。
笑って答えてくれた。
阪神タイガースが優勝した1985年。
僕が家族だと思っていたみんなが、実はユニットであることが分かった。
お父さんじゃなかった。
TO-SUNだった。
お母さんじゃなかった。
アトモスフィアK.Aだった。
弟じゃなかった。
ボブだった。
あのときは、だまされていたショックがひどかった。
カブトムシのことを思い出して、自分が標本にでもなったような気分だった。
だまされてみじめな姿を見られているようで。
確かに辛い時期もあった。
けど、今では仲間でよかったと思ってるんだ。
こうしてみんなも前で歌うことで、背中の傷も癒えたんだ。
じゃあ聞いてくれ、「おうちに帰ろう」。

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