珈琲十連・待ち時間

昨日は「コーヒーを飲み去る」ことを書いた。
本日はその逆ともとれる「コーヒーを待つ時間」について考えてみよう。
かねてより、僕は「料理を待つ時間は厳かでなければならない」と考えている。
と、こう書くと「箸の先端1cmまでしか汚してはならない」とか「迷い箸で手首から先切り落とし」のような感じになってしまうが、何もそこまでは考えていない。
そして上記の例は厳かでない。
ここでの厳かとは、もっぱら「料理を望む気持ち」のことであって、例えば席についていて、料理のにおいがしてきて、そしてそれが運ばれてくる間くらいは料理のことを考えよう、といったものである。
その考えは「コーヒーを待つ時間」でも同じで、例えば店でコーヒーを注文したとき、なにやら厨房からこぽこぽ湯の音がしたり、店員さんがうろうろしたり、なんかクリームを何かの上に乗せようとしたり、そして香りがしたり。
そのときくらいは出てくるコーヒーのことを楽しむべきなのである。
「コーヒーが出されたとき、一生懸命コンセントに詰まったホコリについて考えている客」
確かにコンセントに詰まったホコリは気になる。
でも、やっぱりここはコーヒーを待ち望んで欲しいところ。
店員さんも残念に思うだろう。
ん。
でも、コンセントに詰まったホコリも重要だよな・・・。
例を変えよう。
「コーヒーが出されたとき、掃除したトースターの金具がうまくかみ合わなかったことについて考えている客」
確かにトースターがまだ掃除前の状態に戻されていないことは気になる。
でも、せっかくのコーヒーなのだから、まずはそのことを考えてもらいたいところ。
トースターのことを考えている客になんて、店員さんは出したくないだろう。
お。
でも、この気になることって、トーストを注文できる喫茶店ではけっこうあるのかも。
例を変えよう。
「コーヒーが出されたとき、このあとどこに行こうかと考える客」
これだ。
こんな客は、店員さんに怒られてしまえ。
「コーヒーを出されたんだから、コーヒーのことを考えろ!!」
すると、こう返されるわけだ。
「ここのコーヒーを飲んじゃったら、もうそれが目的だったってことで満足しちゃうんだよ!!」
良い、しかしめんどくさい店の誕生である。

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