敗者の水進

ひざの少し下ほどの水位。
緩やかな流れを持つ川を、人が渡る姿を想像してみよう。
なんか、負け犬じゃないだろうか。
もちろん別にその人個人がどうこう、ということではない。
当たり前だが、水に足がとられながらの歩行となるため、やたら活力のない、これから廃村に向かいます、みたいな感じになるのだ。
川遊びに興じる子供達も、それほどの時間を要せずに、みんな敗者のような歩き方の仲間入りだ。
友達と笑いながら歩いているのだが、ほらもう足は、陸への最短距離を選んでいる。
おじさんなんかは、水の中を歩くこと自体が久しぶりだったりするので、最初からどっこいしょだ。
ある意味、陸上では見られない、貫禄のようなものすら、ただよわせる。
と、このように人間は、ある水位においては、基本的に負け犬になってしまう。
楽だから、ということで、体を浮かせて両手で川底を歩むとかしちゃうし。
だから、水のないところくらいは、しっかりと歩きたいものだ。