ヒロユキが12歳の頃、そのいとこのヨシミは、撃った拳銃の先から出ている煙を吹くんじゃなくて吸っていたっけ。
サトシはそう思った。
ヨシミの同級生のカズヒロは「マンリキは強制アッチョンブリケ装置」と思っていたし、カズヒロと苗字が同じなタカヤは、椎間板ヘルシアだったら面白かったのに、と考えていた。
体育座りをした時、足首が自分の股間をちょうど隠す姿勢と角度を探すことが趣味だったトモミはタカヤのことを知らなかったが、ヤマト運輸の運送トラック型ダンボールの窓は綺麗に切り抜いていたし、その弟のツバサはキティちゃんグッズを集め出した。
そんなツバサと未読のLINE数が同じだったハムドが空蝉の術の空蝉の方だった頃、学校の一緒だったシンジは手を使わずに大型犬用ハーネスを身につけることが、ナミはオフラインなりすましが得意だった。
ナミの祖父だと思い込んだハルゾウは「サイハイおじさんって、つまるところレフェリーのこと?」と言っていたが、その将棋友達のゲンジは、基本的に無傷だった。
ゲンジの反物質のオサヨは気の強い女性で、あと変身を2回残していたけど、それを愛おしく見ていたヘイハチは10連コンボ中だった。
この二人は二人羽織状態になっちゃって。
オサヨなんてあつあつのおでんを探していたけれど、その結果、違うのがあつあつになっていた。
その時代、ショウジは野球の審判をしていて、審判側が隠し球をやったらどうなるのだろうと思っていたが、ピッチャーをやってたトモキは、養成ギプスのつもりで亀甲縛りを嗜んでいた。
そんな僕らが、全員新宿駅を利用していることがわかりました。
よろしくお願いします。
注
何かが起こりそうだよストーリー
何かが起こりそうだよストーリー リターンズ
何かが起こりそうだよストーリー プレリュード
何かが起こりそうだよストーリー プロローグ
何かが起こりそうだよストーリー ノクターン
何かが起こりそうだよストーリー エチュード
何かが起こりそうだよストーリー アンリミテッド
カテゴリー: 物語
僕はわらった。
神「うひゃひゃ。」
神々「どうしたの!?。どうしたの!?」
神「うひゃひゃ。」
神々「わらってるの!?。わらってるの!?」
神「いやあ。人間の世界ではありそうな事で笑える「あるある」ってのがあるんだけど」
神々「うん!!。うん!!。」
神「それが面白くてね」
神々「どうして!?。どうして!?」
神「どうもそれを見ていると、人間達は「ありえそうな事」は他では起こりにくそうな事だと勘違いしているらしくねて」
神々「なに言ってんの!!。なに言ってんの!?」
神「他では起こりにくそうな事が、ある環境ではやたら起こる。それを共感できる事が面白いらしい」
神々「なに言ってんの!!。なに言ってんの!?」
神「例えば、プレゼントのラッピングを、喜びのあまり本人の目の前でめちゃくちゃにして開けちゃった、なんて事は、人間界では「あるある」になる」
神々「うん!!。うん!!。」
神「しかし我々から見たらさ。もちろんその「あるある」もラッピングを存在づけるひとつの重要な要素だけど。」
神「でも、人間達が「それはラッピングに関するものとしてはありえない!!」と考えていることが、どれほどラッピングの存在を維持しているのか、わかっていないんだよね」
神々「なに言ってんの!!。なに言ってんの!?」
神「言うなれば、全てのものは全てのものに対して「あるある」なんだよ」
神々「ばかなの!?。ばかなの!?」
神「だからさ。例えば我々が「ラッピングをびりびりにしちゃうことを許可した」とき、同時に何を許可しなくてはならないって教科書にあったっけ?」
神々「忘れてる!!。忘れてる!!」
神「確か、「そこから半径300mの誰かの鼻緒が切れることを許可する」だ。このとき、我々は鼻緒が切れる事とラッピングがびりびりになることは当たり前のように関連づいてて気づかないくらいだけど、人間界ではそんなこと知らないから、「鼻緒が切れる」ことは「あるある」にはならない」
神「人間界で「いやあ、目の前にラッピングしてくれた人がいるのに、包装をめちゃくちゃに開けちゃったら、岸田さんの鼻緒も切れちゃって」で、「あるあるー」とはならないわけだ」
神々「不思議だね!!。不思議だね!!」
神「むしろ「だれだれー」になる」
神々「岸田さんだね!!。岸田さんだね!!」
神「そう。そしてもう我々の感じだとこの時点で「岸田さん、あるあるー」ってことになる」
神々「あっ、確かに岸田さん、あるね!!」
神「岸田さん、あるわー」
神々「岸田さん、あるわー」
※
僕はやめた。
僕はまとめた。
僕はくぎった。
僕はうたった。
僕はあたえた。
思い出話
アトランティス大陸で夫婦だった女性と出会った風の話
=====
男「で、腐臭のする23人の給食当番があなたにビンタするところまではわかりました」
男「だからどうだと言うんでしょうか」
女「ビンタじゃありません。バンダースナッチです」
男「バンダースナッチってそういうものなのか、よくわからないんですが」
女「あなたは忘れているだけなんです」
男「アトランティスの事を?」
女「そう。そしてあそこで、私たちは夫婦だったんです」
男「うーん。で、あなたの言葉を信じるとすると、そのあと「金色の破裂音」がするんでしたっけ」
女「そうです。それで私たちは別れ離れになってしまったんです」
男「そして今」
男「僕のシャツにうっすらと白い粉がふいていたことから、アトランティスでの夫であると?」
女「塩ですね」
男「すなわち、給食当番と破裂音と白い粉を足すと、夫になるわけだ」
女「結果的には」
男「僕とあなたは今ここで、出会うべきではなかった」
男「もちろん、アトランティスでもね」
悪だくみ
最近何かおもしろいゲームはないかと考えているのだが、いまいち思いつかない。
モンハンの3DSのやつはなかなか進まない。
くにおくんも進まない。
PSPのスパロボは封を開けていない。
そこで僕は「中世ヨーロッパのかつらのロール部分に爪楊枝を投げて刺す」ゲームを考えた。
ちょうど前に、あの16世がいる。
もう彼に21本、気づかれないように刺している。
実は、このゲームの楽しさは、その刺した本数ではない。
今彼の頭には1本も残っていない。
爪楊枝はどこに言ったかって?。
彼は食事の後、物を探すかのように頭をなでる癖がついたようだよ。
落としてきた歴史
駅に向かって歩いていると、ふとカイロが落ちていることに気づいた。
最近は寒さかぶり返してきて、僕もカイロを手放せない。
落とした人はさぞかし、身を震わせながら電車へ急いでいることだろう。
まあ特に気にも留めずに歩いていくと、すぐにまた何か落ちている。
小さい緑のメモ帳だ。
メモ帳を落とすかね。
けっこう人通りは多い。
雑踏の中、奇跡的に踏まれていないそれを見て、気づいた。
僕の持っているメモ帳と同じやつだ。
どちらにせよ、こうも落としていく人はどんな人なんだろう。
もちろん先ほどのカイロとこのメモ帳を落とした人が同一人物である証拠は一つもないのだが。
電車の時間が迫っている。
落とし物のことを考えつつも歩き出すと、また何か落ちている。
今度は使い捨てマスクだ。
耳に当てるゴムが一部、真っ赤になっている事以外は、いたって普通のマスク。
そう、もう花粉症の季節なのだ。
例年よりも少ない花粉量らしく、しかも寒いのだが、それでも花粉に苦しむ人がいる。
実は僕がそうで、僕もちょうど今、マスクをしてきているのだ。
寒い日なんかは顔を暖める効果もあって、重宝している。
そんなことを考えながら顔に手をやると、どうしたことかマスクがない。
僕がマスクをしていない。
今日は確か身に付けたはずなのだが。
マスクを触ろうとした手は行き場を失い、顔をなでるしかない。
少々腑に落ちない気分になりながらも、冷えはじめた手を温めようとカイロを探ろうとしたところ、ポケットにそれがない。
あれ、カイロもない。
奇妙だ。
何か不安になった僕は、内ポケットに入れてあるメモ帳を探す。
ない。
そういえば、あのメモ帳はちょっと珍しい。
コンビニなどでは売ってない種類のものだ。
さきほどから目にしてきた落とし物は、ことごとく自分の持ち物だったのか。
自分はここに、何を落としてきていたのだろうか。
落ちているマスクの先をゆっくりと見てみると、何も落ちていない。
しかし、駅にむかっての直線上に、さまざまな円が書かれていた。
遠くなるほどにその円は大きくなっていく。
チョークで書かれた円。
手前の、一番小さめの円を見た時、頬をつたう生暖かい液体に気づいた。
僕は、改札まで無事にたどり着けるのだろうか。
再検査
A「こないだの人間ドック、俺、胃カメラの再検査でちゃったよ」
B「それならまだいいよ。俺なんて胃カメラと肺のレントゲン、2つだもの」
舞の海「そういえば俺だって」
AB「身長の再検査だろ?」
舞の海「いや、メタボ」
ありがとう緊箍児。
椅子に寝そべりながらビーチでのんびりしてると、いつの間にか力士に取り囲まれている。
そんな状況だった。
半径10メートルくらいだろうか。
よくみてみると、彼らは私を中心に、隙間のないくらいの密度で円を描いている。
そして、例の「はっけよいのこった」の直前のポーズなのだ。
この状態が何かの比喩なのならいいのだが、今実際に起きているから困ったもの。
しかし私は、特にあわてることもなく、そばのオレンジジュースに手を伸ばした。
もし、彼らが一斉に突進してきたとしても。
そう、彼らはあのかけ声で突進する性質なのだから、来るとしたら一斉だ。
そう来ても、ある程度接近してきたあたりでお互いが密になりすぎてしまい干渉。
半径が少し減った時点で動きが取れなくなってしまう。
そう考えたのだ。
=====
先生、これは水が沸騰して分子が飛び足す寸前の、びんびん状態を表現したものなのですか?。
いいえ、「おいしさをぎゅっ」の、おいしさのことです。
書庫のような本
俺は、ある本屋でコンシェルジュのような仕事をしている。
自分で言うのも何だが、お客様の要件はほとんど最高の形で答えてきた。
しかしひとつだけ、今でも気になっている要望がある。
「書庫のような本はないですか」
その少年は知り合いに軽く挨拶をするように、俺に尋ねてきた。
え、書庫にあるような本ですか。
「いえ、書庫のような本です」
というと、百科事典のような。
それともその目次を収録したものなどですか。
「すいません。実は僕もよく分からないのですが、とにかくあるはずなのです」
「もしかしたら、図書館のような本、というニュアンスなのかもしれません」
年齢の割にはずいぶん言葉遣いが大人びている。
いろんな本の事がたくさん載っている、そんな本ですかね。
「このあいだ、祖父がぽつりと口にしたのです」
「書庫の本をもう一度だけ、ひらけたなら、と」
おじいさんですか。
その口ぶりだと、確かに本物があるようですね。
「そうなんです。もう亡くなったのですが、ときどきそのことを思いだしていたようでした」
そうですか。
それで、その本をなぜ今、探しているのですか。
「おじいさんが身につけていたロケットに、こんなメモが」
くー2957693・・・
「うしろの方がやぶけてしまっていて」
うーん。
考えようによっては「書庫のような本」のあるページを指している、とも取れなくない。
「そうなんです。そこが少し気になっていて」
「おじいさんがもう一度見たいページだったんじゃないかと」
そうですね・・・。
しかし。
申し訳ありません。
おそらくここの書店にはそのような本はないと思います。
もしかしたら、どこにだってないかも知れません。
「ええ。僕だってそう思っているんです」
とにかく何かが網羅されているものをごらんになりたいのでしたら、どうでしょう。
動物図鑑やヴァンガードのカード全集などありますが。
「ありがとうございます。でもいいです」
「書庫のような本を考えたとき、主に動物図鑑は動物以外、ヴァンガードはヴァンガード以外が手薄です」
「それにもう、僕は書庫のような本という存在自体に魅力を感じているので」
そう礼を言って、少年は去っていった。
この、答えのない要望のことを思い出す時、俺はいつもヴァンガードのくだりが必要だったかどうか、不安になるのだ。
僕はやめた。
神「やめる。やめるよ。」
神々「なにを!?。なにを!?。」
神「神をだよ。もうやめるよ。おもしろくないし、みんなから見返りもないし。」
神々「どうやるの!?。どうやるの!?。」
神「話によると、必要な書類を書いたのち、頭の輪っかを海の崖から投げるんだって。」
神々「すごいね!!。すごいね!!。」
神「そしてその輪っかが崖の下にある岩の穴に入ったら、神をやめるという願い事が叶う。」
神々「似たの聞いたことあるね!!。」
神「そうだね。ともかく、善は急げだ!!。」
神「いやあ、書類は大変だったけど、どうにか終わった。」
神々「次は!?。次は!?。」
神「あとは輪っかを投げ捨てるだけだよ。」
神々「それだけ!?。それだけ!?。」
神「そう。そして神の力がまだ使えるから、神をやめるという願いを叶える岩の穴へは百発百中なわけよ。えへへ。」
神々「神やめたらどうするの!?。」
神「うーん。あんまりよく考えていないけど。」
曽根村信孝「例えば、こんな感じになるんじゃないかな。」
神々「曽根村信孝、検索してもいないね!!。」
曽根村信孝「そう、今までいなかった人にこつ然となるんじゃないかな。」
神々「検索に引っかからなかっただけで、いたらどうするの?。」
曽根村信孝「もう、間髪入れずに謝るよね。」
キセキレイ「そしてこうなる。」
神々「鳥だね!!。鳥だね!!」
ワムシ「キセキレイに飽きたら、こういう方向性もある。」
神々「小さいね!!。小さいね!!。」
チョコボールのおもちゃ缶「子供をわくわくさせたり。」
責任感「大人を突き動かしたり。」
盗み聞き「時には悪いことをしてみたり。」
神々「神やめたら、いろいろなれるんだね!!。」
盗み聞き「そう。でも誰にも内緒だからな。」
神「で、ここがその崖なんだけど。」
神々「高いね!!。高いね!!。」
神「こりゃどうしたことかね。」
神々「どうしたの!?。どうしたの!?。」
神「・・・やっぱ、やめとくか。」
神々「なんで!?。なんで!?。」
神「見てみなよ。岩の穴にひとつも輪っかが落ちてない。一人もやめてないんだよ。」
神々「ほんとだね!!。ほんとだね!!。」
神「神の輪っかとはいえ、海へ投棄はいけないってことか。」
神々「そうだよね!!。そうだよね!!。」
責任感「そんなわけは、ないよねえ。」
※
僕はまとめた。
僕はくぎった。
僕はうたった。
僕はあたえた。
私的ハードボイルド
この街はポルシェのエンジンみたいなものだ。
切ったとしても、すぐに熱は冷めない。
こんな夜じゃ、寝るにはアツすぎる。
しわついたジャケットをひっかけて街灯の元へ。
夜をまさぐれば、柔肌のひとつやふたつ。
それが口癖だったセンパイは、こないだ会ったときはずいぶん小さくなってたな。
小脇に抱えられてしまうくらい。
ざまあない。
おっと、警備員だ。
くらがりに身を任せると、彼は何も分かっていない青二才の顔で通り過ぎていった。
あいつら、俺をみるとすぐ徘徊だ徘徊だとうるさくしやがる。
さっさと自分とこのVIPルーム(注)に陣取りやがれってんだ。
ふう。
やっと外の空気を吸えたぜ。
生き返るって気持ちも、まんざら嘘じゃねえ。
なんだよ。
やっと男の欲望ほっとステーションに着いたかと思ったら、市営のスポーツセンターじゃねえか。
スポーツなんて、それ目的でやるもんじゃねえ。
俺は生きていくことがスポーツみたいなものだったんだからな。
しかしまあ説明すると、確かこのスポーツセンターはこの街が市になってからすぐに建てられたもので、市が誇る施設の一つだ。
歴史はあるが設備は最新で、ゲーム的アトラクションの性質を取り込んだ運動器具や一般市民向けのレクリエーションも行える大規模体育館。
レストランではサンドウィッチをはじめとする軽食、クリームソーダなんかも楽しめる。
事実、平日休日問わずに様々な人がこの建物を有効に活用しているらしいな。
ま、俺には関係ないがね。
なんだよ。
今度こそ男の欲望メッカに着いたかと思ったら、市役所じゃねえか。
俺みたいな生き方をした人間にとっては、市役所なんて意味ないどころか、むしろ有害だった。
俺がここを訪れるのは、ターゲットの情報を引き出すときくらいだったからな。
しかしまあ説明すると、確かこの市役所は、当時としてはかなり大掛かりな建物として建造されたはずだ。
内装も仕事ぶりも最高。
最近では増築もされて、市民へのサービスもより手厚くなった。
しかも介護への関心はどこの市よりも高く、市役所の1階には専門スペースも設けている。
専門スタッフがいるから、市民からの質問にも適切丁寧に答えてくれるって寸法さ。
ま、俺もご厄介になっているがね。
へえ。
やっと着いたぜ、コンビニ。
え、男の欲望はどうしたかって?。
そりゃパジャマにカーディガン、スリッパじゃ、コンビニくらいが一番お似合いなのさね。
(注)VIPルーム
宿直室のこと。