MIB

「もしもし、武田?」
「はい武田です。ああ先輩ですか。どうも」
よくある携帯電話でのやりとり。
用件がやり取りされる。
おやおや、先輩と武田の用件は、ゲームの事のようですね。
「その村、入り口に隠し通路があるから、その奥にいる村人に話しかけるんだよ」
しかし唐突に武田から電話が切られる。
「ああそうなんだ。あれ、すいません先輩。いまちょっ」
すぐにかけ直す。
「なんか切れたな。武田?」
「ハイ、タケダデース」
=====
ありがちなお笑い話かもしれないが、結構奥が深いと思う。
まず「先輩」はこう思うだろう。
知らんやつが電話に出た。
なぜか武田は電話に出られないらしい。
何かあったのか、と。
次に、もしかしたら電話の内容が何かしらの国家機密であるとか、著しく公言してはいけない内容だったろうかと回想する。
それを話してしまったが故に武田は捕まってしまったのか。
そのあと、すぐに訪れる2つの恐怖。
自分も捕まってしまうかもしれない恐怖。
村の隠し通路の話題に何ら後ろめたいことはないが、実際武田は知らん人になってしまった。自分もそうされてしまう、そんな恐怖。
そして「明らかに武田でない誰かが武田のなりをしようとしている」のが何よりも怖い。
それは「すごいことになってしまったが、それを何もなかったかのように振る舞おうとする」意思だ。
しかも、何もなかったかのように振る舞うためには最重要そうな「武田」が下手すると日本人ですらなさそうなこと。
かなりの緊急性をはらんでいることが想像される。
「タケダデース」は、一人の存在が不明になってしまった以上の緊急性が起きた事を感じさせ、「先輩」を驚愕させ、「もうゲームなんかやらない!!」と思わせるだろう。
実際にいたずらをやってみたい気もする。
「電話がかかってくるから、ちょっと僕のなりして対応してくれない?」
ただ心配なのが、思いのほかその2回目の電話が盛り上がってしまったらというところだ。
個人を否定された気になった僕は、その場で顔を覆ってしゃがみこんでしまうかもしれない。
そして次からはこうだ。
「ハイnimbusデスケドー」

跳ねる

駐車場に車を止めると、バッタがカバーの上でひなたぼっこをしているのが見えた。
車から降りても逃げないそれを横目に立ち去ろうとすると、今度は塀の上にバッタのいるのが見える。
バッタが多い。
バイクにかけたカバーをまた見てみると、さっきとはまた違うバッタがいる。
バッタだらけだ。
姉が「このカバーをめくったら大きなバッタかもしれない」と言った。
僕はサイクロン号のほうがいいんじゃないかと思った。
陸上では、外骨格の生物(骨がないやつ)はそれほど大きくなれないと聞く。
それでもバイク大のバッタが登場したらどうなるだろうか。
米大衆紙でウサギくらいのバッタを誇らしげに掲げる男の写真があったの思いだした。
確か後ろ足を持ってバッタを逆さにしていたと思う。
考えるに、あれほどの大きさになってしまうと少々強靭な後ろ足であったとしてもはねる事はできないだろう。
はねた瞬間、節でもげてしまうのではないか。
そしてバッタは後ろ足を持ってはならない。
ウサギを、耳をつかんで持ち上げてはならないのと同じで、傷つけてしまうだろうから。
しかし食べるというのなら、まあ仕方がないか。
何より。
何よりもバッタを持って誇らしげにしてはいけない。
かなり大きかったとしても、それはバッタだ。
そんなに誇らしいものでもない。
今ペプシのコマーシャルで、歌う宇多田ヒカルのバッグバンドとしてペプシコーラのボトルたちが騒いでいた。
そんなに跳ねてはだめだといいたいところだが、何となく手中に落ちた感じもする。
ここで「跳ねて」と書いちゃった事でもね。

力と変換

たいがいのドラマでは、愛や友情が何らかの「ちから」に変換され、うまいこといく。
この、現代版錬金術とも言うべき構図は、もっと他のところでも起きているのではないだろうか。
例えば、もうすぐ見たいドラマがやるのに買い物が終わらないことは、どんくさいおばちゃんが並んでいるレジには並ぶまいという洞察力に変換される。
釣れないと夕食がないことは、魚を盗んでも捕まらない瞬発力を、あるいはいつ釣ったのかわからないような腐りかけの魚を食べても腹を壊さない消化力に変換される。
一人の青少年が病気をなおすための手術を怖がることは、野球のホームラン一本を打つための力に変換される。
これらは一見、当たり前のような変換である。
しかし実際の錬金術が失敗ばかりであったことを考えると、気づかないだけで実は誤った変換が起きていることもあるやもしれない。
一人の青少年が病気をなおすための手術を怖がることが、知らない人の、女装癖があることを公言する勇気に変換。
本のページをめくることが、あるボクサーの腕のリーチを伸ばす力に変換。
泣きじゃくる赤ん坊をあやすことが、核使用の抑止力に変換。
そう。
誤った変換であったとしても、それはそれで必要。
それはCOP10の意義のひとつみたいなものであり、誤っているかどうかもわからないところが、みそであるが。

手動

手動車というものはあるのだろうか。
もちろんこれは「自動車」がわざわざ「自動ですよ」を主張しているからである。
少し考えるだけでも、手動車はたくさん思い浮かぶ。
リヤカーや手押し車はもちろん、チョロQもそう。
「普通手動車」だ。
「車」を広義的な視野でとらえれば、滑車が含まれた理科の実験のほとんども手動車となるだろう。
自転車も、その「自」が「自動車」と通ずるのなら、「自転車って、俺らが回転させてんだろ!」と怒っていいかもしれない。
正直、自動車に対しての「手動車」なんてものには全く興味がない。
「今日は寒いから、すいとんにしましょう」
「やったー、かぼちゃ入れようよ」
「手動車、手動車、手動車!!」
「豚肉は細切れがいいな」
この会話だけで、ちゃんとすいとんができる。
間に挿入された手動車は、聞こえていたとしても自動的に雑音として消されている。
このくらい興味ない。
ただ少しだけ気になったのが「電気手動車」の存在だ。
「何かしらの作用で電気は帯びるが、車の運用には特に使用しない」
なかなか美しいじゃないですか。

何かの漫画だかエッセイだかで読んだ「具が入ってない」というセンテンスが、思いのほか面白いことがわかってきたところだ。
コーヒーを一口飲んでから「具が入ってない」と言えば、喫茶店のマスターは生きたここちがしないのではないだろうか。
あるいはキスのあと、少し納得いかないような表情をしての「具が入ってない」。
目の前には、心変わりがばれたのかと驚く相手がいるかもしれない。
けっこうスリリングなのは、マラカスを手にしたとき。
具が入ってないと聞いた周りの人は、いろいろと夢広がる事だろう。
・・・あれ、今回の内容、具は?。

自由性

昨日「拘束衣」なんて言葉を使っていたら、思いついた。
音楽は拘束具。
意味ありげなコピーができました。
無難なところだとワイヤレスイヤホンや外耳装着型のプレイヤーの売り文句としていいかもしれない。
まあ、今日は特に何もないってことっすよ。

未定

どこの国だかでアイドルの低年齢化がどうこうらしい。
確かに、すごく大人びた子供がいますしね。
とはいえ、今のところアイドル自体にあまり興味はないのですが。
「先月デビューしたユミです。スリーサイズは未定です☆」
こうこられたら。
お、うまいなという感じで気になるだろう。
これを言えるのは、整形外科的な何かを考慮しなければ、子供である。
大人アイドルだと「お前はいつまで育つつもりだ」などと言われてしまう。
その点低年齢キャラの特権である。
なんか、新鮮である。
ただ、思いのほかぐいぐい未成熟に食いつく人もいるかもしれない。
それが困るところである。
まあこの流れを続けるとなると、必然的に出てくる「俺タクヤ。血液型は未定です」「さやかです。趣味は未定です」。
おそらく前者は地球外生命体アイドルかもしれないし、骨髄移植の予定があるのかもしれない。
どちらにせよ、早めに決まった方がいい。
後者は自然に決まる物でも、かつ急いで決まる物でもないので、その点未定でもそんなにこちらが不安になる事はない。
あせらず自分なりの趣味を見つけてもらいたい。
「僕、名前未定です」
新加勢大周か何かだろうか。
「私ミカ。命日未定」
いやあ奇遇ですな。実は僕も。

5分間

はらがいたいのら!!。
これを短くするとはらたいらになりそうだ。
腹が痛くなってきた。
なぜだ。
今飲んでいる、あったかい紅茶にそんな作用はないはずだ。
昼食の担々麺か。
辛いからか。
しかしおいしかった。
辛いから。
いてててて
やっぱここで「いてててて。」と、「。」をつけたら痛さが伝わりにくい。
「。をつける余裕があるじゃないか」
そう。
僕は余裕がないのに余計なことをする。
切実なお願いごとを書いた張り紙に、マスコットキャラクターを書いてしまう。
「それほど切実じゃないな」
はらたいらの件だってそうだ。
はらいたーいのら!!
!!だってそうだ。
僕は昔、1杯の紅茶に角砂糖を4つくらい入れて、それをマリービスケットと一緒に食べるのが好きだった。
今ではそんなに角砂糖を入れることはないが、その影響が今出てきたのか。
ああ今、マリービスケットというのが本当にあるのか、ちゃんと調べてしまった。
それらしいのはあるので、安心だ。
安心だ安心だ
じゃあま

体温計

検索される画像第1位は、アイドルでも子猫でもエロ系でもなく「少し高めを指した体温計」だそうだ。
うそだが、あながち遠くはないだろう。
汎用性高いから。
で、これで今日は終わり。
少し高めなもので。

巣作意欲

クモが巣を張るとき、何をもって「よしここに巣を作ろう」と思うのだろうか。
なにげにちゃんと研究されているかもしれないが、僕は知らない。
有利である。
こういった流れに際し、「知らない」ことは有利である。
考えてみた。
1
風通しの良い場所
風通しがよいと、羽虫も風に乗って通過してきそうである。
クモ物件では風通しが重要視されるに違いない。
2
昔、誰かが巣を張っていた痕跡がある場所
それは、ここで獲物が得られた事を示す。
よって今後の期待値も高いため、巣を張ろうという気にもなるはずだ。
3
風水的にいい場所
風水というものが自然の何かを考慮した物なのだとしたら、それを他の生物が利用していないはずはない。
クモもそうで、一見獲物がかからなそうなところでも巣を張るのは、風水的にいいからなのであろう。
4
女子大生のマンション
これは一見「着替えをのぞこうとしている」と思われがちだが、実は逆で外から部屋内を見せないようにするという、かなり健気な理由なのである。
叶わぬ恋なら、せめて役に立ちたい。
そう思ってクモは、太めの糸で巣を張るのである。
5
長袖の袖の中
いったん迷い込むと、一方通行。
それがクモの巣作製意欲を沸き立てる。
しかし長袖使用者にとってはかなり気持ち悪い。
長袖を手にとり、腕を通したら指にクモがついているのである。
私、こんな指輪してたっけ?
私、こんなロックな指輪してたっけ?
かなりびっくりする。
6
西武球場
クモたちには夢がある。
それは「どのくらい大きな巣を作る事ができるか」だ。
今までの最高記録は地下鉄丸ノ内線のトンネルで、対岸に糸をつなげるのに苦労したがどうにか完成。
しかし始発により破壊されてしまったのである。
そしてそれを遥かに凌ぐ西武球場が今、クモたちにとって熱い。
7
外灯付近
クモたちは、虫が正の走光性を示すことを知っているので、外灯が入れ食い状態になることを期待している。
もう、外灯自体を巣で覆いたいとすら思っている。
8
掃除機ホース内
何か分からんが、ここはいろいろなものが通過していく。
だから巣を張ってみたいと思っているだろう。
9
鳥ののど
得られる物も多そうだが、かなり綱渡りな状態である。
これができるのなら、クモ的にはそろそろ待ちではなくて積極的な狩りが始動できるようになるだろう。
10
左舷
以上。