おにぎりには、夫婦関係のように色々な形がある。
ごめんね粗相。
ともかく、そこから「人間の手の器用さを表している」と言ってみたかった。
そして赤ちゃんに粘土のような、可変なものを渡した時、まずどんな形にするのか。
ぐちゃぐちゃは考慮に入れないとして、人が一番「作りたがるもの」というものを考えてみようと思っていた。
しかしおにぎりの形はもう、そんな根源的なものを語る上では、あまりに世間慣れしてしまっていることに気づいた。
要は、落としても転がらないようにの三角形。
要望や技術がふんだんに詰まった結果の形なのである。
おそらく、おにぎり誕生当時は、転がって転がって大変だったはずだ。
それを改善した。
ドアが自動に開いたり、トイレがお尻を洗ってくれたり。
それらはおにぎりの三角形の延長線上に存在しているわけだ。
そう考えると、三角形のおにぎりはちょっとかわいくない。
じゃあ俵型のおにぎりはどうなのだろう。
転がり上等なのだろう。
近くに塩湖や、炊きたてお米が広がる高原はなかっただろうか。
カテゴリー: ものことば
ロケットパンチ。
昔あった超合金のロボットは、必ずと言っていいほどロケットパンチを標準装備していた。
僕もいくつか持っていたように思うが、それもやっぱりロケットパンチがついていて、よく手首から先がなくなってしまうのだった。
さて、そんな手首の先。
これまた必ずと言っていいほど拳をにぎっていてしかも穴があいているんである。
このことが示しているのは「このおもちゃにはアクセサリがあります」だろう。
何かの光線銃だとか、剣だとかだ。
ただ、確かに銃を持った拳がロケットパンチとして飛んでいくさまはなかなかいいが、とらえ方によっては別のことを示している気もする。
「何かにぎりたい」
あの拳はにぎりたがっている。
かつてあんな雄弁な拳があっただろうか。
それは男の証でもなく、力の象徴でもない。
にぎることに一直線の拳だった。
そう考えると、たいていつまようじを持たせていた僕の行為は許されるものじゃない。
手にラメのつくバッグ。
手に持つところがやたらキラキラしたバッグは、何を意味しているのだろうか。
「お前は手元が貧相だ」
しかしこうなると、キラキラしているものは全て何かが貧相であることを物語っていることになる。
そんなことじゃないだろう。
「ここだ!、手に持つところはここだ!!」
親切である。
東京タワーの点滅するライト。
「ここには東京タワーあるから!!」
それとおんなじ意味。
「心はいつも17歳!!」
僕が一番キラキラしていたのは、いつだったか。
ものことばについて。
その人は不意に目線をそらすと、どこからか椅子を持ってきて、おもむろに腰を下ろした。
「おもむろ」には楽しいところがたくさんだ。
まず、その意味は何となく「急に」っぽいが、実はそうでなく「ゆっくりと」。
漢字で書くと「徐に」と一文字におさまり。
そして「徐に」はやはり「じょに」と読んだ方が味、迫力ともに増す。
今ちょうど何作目かの「パイレーツオブカリビアン」のCMがやっていることも踏まえると、ここは「ジョニー」で行くのもいいかとも思うが、僕は、ジョニーのたぐいはほとんど知らない。
引き出しない。
じゃあ他にはあるのかと問われれば特になく、僕は疲れたから椅子に座りたい。
そう、椅子だ。
その人は不意に目線をそらすと、どこからか椅子を持ってきて、ゆっくりと腰を下ろしたんである。
その様子をみて、こう思ったんだった。
「ものことばってのもいいな」
花言葉というものがある。
説明はいらないだろう。
魚言葉というものがある。
これは吉田戦車の漫画にあったもので、それ以外の説明はいらないだろう。
まとめると「ものことば」というのは、説明はいらないだろう。
僕はその椅子を見て「お前には時間がかかる」という意味を見いだすことが出来た。