下北沢の駅ホームにて、「転落警報解除箱」なる物体を発見した。
「誰かがホームから転落したときに鳴る警報を、止めるボタンが隠されている箱」に違いない。
おそらく「誰かがホームから転落したときになる警報」は、この解除ボタンを押さない限り永遠に鳴り響くのだろう。
ただ、聞いたことはないがこの警報、かなりうるさいと予想される。
重大なシグナルをあらゆる場所に発信する任務があるから。
だが同時に、うるさすぎて詳細な情報の伝達を妨げる危険性もありそうだ。
事件の一報をいち早く知らせるのは重要だが、その後の対応、情報伝達に遅れが生じるようではいけないのだ。
そんな可能性たちの狭間に「転落警報解除箱」は存在する。
僕は、その箱の付近に「転落警報箱」を探した。
しかし、すぐに止め、反省した。
人がホームから転落した際、そのことを一番早く気付くのは、本人だ。
そして、本人は転落している。
「転落警報箱」はホーム下にあると思われる。
もちろん転落者が気を失う可能性は多分にあり、ホーム上にも存在しているだろうが。
そして「転落警報箱」は「箱」ではない。
「転落警報箱」の発想元である「転落警報解除箱」が「箱」である理由は、
・アホな人が勝手に押して、警報を解除しないようにするため。
・箱を開ける作業を追加することにより、その間「本当に解除していいのか?」と考えさせることができる。
といったものだろう。
「転落警報箱」には、そういった機能は求められていない。
特に「本当に転落したことを知らせていいのか?」といったことを転落者に考えさせるのは、拷問に等しい。
よって「転落警報箱」は「転落警報ボタン」として、まる見えであるはずだ。
僕は次に「転落箱」について考えた。
「転落箱」。
そんなものはないだろうし、よくない。
そう思う。
でも、駅売店でなにやら冷やしているものが、これに相当するのでは、とも思う。
「駅でみかけた箱」について、いろいろ考えた。
どうやら駅には「転落箱」があり「転落警報ボタン」があり「転落警報解除箱」があるようだ。
転落させない気は、ないのである。
僕は最後に「転落解除箱」について、すこし思った。
電車が来る。
なんでこんなことを考えていたのか。
あー。そうだった。
「転落警報解除箱」だ。
ん、なんだ?。
「転落警報解除箱」?。
まず「転落箱」が、駅売店の・・・。
「転落警報箱」が、押しやすいボタンで・・・。
そして「転落警報解除箱」・・・?。
役目を詳細に表そうとするほどに、その存在は、より虚ろとなるのだった。