目の前にある、飲んだら体に悪そうな発色の目薬にはこう書いている。
「目のかすみ」
これまで全く「目のかすみ」について気にしてこなかったが、果たして僕は「目のかすみ」状態にあるのかどうか、不安になってきた。
別に、「目のかすみ」状態でないときにこの目薬を使用すると目玉が破裂する、などということはないだろう。
僕が心配なのは「僕の目のかすみは、ちゃんとみんなの目のかすみと同じ症状なのだろうか」という点。
結局、当人でなければ分からないのである。
「目がかすむ」というのが、人によってはぼんやり見える事。
ある人は霧がかかったように白いフィルタがかかる事。
像が歪んで見えにくくなる事。
目にゴミが入ったときの事。
また、目よりも優れた器官が突然人間に備わったため、目があまり必要なくなった事。
「いやーポッサ肢(※)がすごく便利過ぎて、目がかすむわー」
どうなんだ。
俺はちゃんとした目のかすみなのだろうか。
とりあえず「ドラえもん、おばあちゃんのやつ」を読んで心の汗を出し、目を見えにくくしてみることにする。
※ポッサ肢
人間に突然備わった、目よりも広範囲の可視域の器官。
鼻の毛穴に埋まっていて、毛穴すっきりパックでよく取れる。