残念な事に「シロアリが得意な人」という人を僕は見た事がなく、それはその容貌や「わんさか感」、そもそも虫だという、理由に事欠かないこと。
そして有名な「家の木材部分を食い荒らす」という、彼らが体内で木材の成分を分解できる細菌を持っているからこそ行える気持ち悪い性質も、原因になるだろう。
昔、家を荒らされた事があってもなくても、嫌い。
今、ちょうど家を荒らされてる人だって、嫌い。
家を荒らされてはいないと思うが、今目の前をシロアリが歩いているっていう人だって、嫌い。
人はシロアリの事を嫌いなのだ。
それでも僕は思う。
幾人かは「シロアリの女王のお腹部分に食欲がわいた人がいるのではないか」と。
タンパク源として虫を昔から採用していた人たちはもちろんいいのだが、そうではない、例えば日本の虫を常食としない地域。
そんなところの人たちでも、いると思うのだ。
あの、大変な事になっている女王アリのお腹がうまそうに見えた人が。
僕は触る事すらできないだろうが、想像はできる。
その人たちは、おそらくその味を「白子」っぽいのと考えているのではないか。
「森の白子」と呼ばれる日は来るのだろうか、シロアリの女王。
いや、彼らはもう人間のすみかに進出していた事を忘れていた。
「家の白子」と呼ばれる日が来るのだろうか、シロアリの女王。
そっちの方は、冷蔵庫の方で十分なのだが。