【あらすじ】
台湾旅行。
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川辺で謎の畑作業を営むおじさんを横目に、僕はまだまだ歩いていく。
すると、橋が見えてきた。
対岸には田んぼが見えており、何か台湾固有種が見つかったりしたら面白そうだ。
橋を渡る事にした。
しかしどうしたことか。
今まで苦労してきた台湾特有、かどうかは分からないがとにかく苦労してきたシステム。
歩道がないという問題がここでも現れた。
すなわち、橋に明確な歩道はなく、ほぼ車専用の扱い。
駅から1時間以上は歩いてきただろうか。
進むのに困っている訳だが、もちろん戻るにも面倒くさい。
どうにか活路を見出そうとしていると、歩道ではないにしても「ここ車侵入しちゃだめ」という感じの車線エリアが道路の端に描かれている。
そこを歩く分には問題なさそうで、しかも対岸へ渡ることができる。
さっそく安全地帯らしき箇所を渡り、対岸へ赴く。
どうやら対岸とは言っても本当に「川辺の端」までしか行けず、橋を渡りきってそちらを歩いていくというのはできなさそうだが、仕方ない。
とりあえず今は田んぼだ。
橋の横に設置された、緊急時用に用意されたような細い階段を下りると、橋げた付近に出る。
正直雑草やらごみやらが散在していて、「美しい場所だからここに住みます」とは決して口にはできない場所だったが、なぜか一人寝ているものがおり、僕の血をたぎらせた。
蛇もいそうでその点びびりつつもどうにか田んぼゾーンに出る。
ここまでは日本のそれと変わりはなく、いわゆる田んぼだ。
しかし日本では見られない生き物がいたりするんじゃないだろうか。
見たところ、ここにいる生き物は稲だった。
そして結果的には、稲しか見つからなかった。
それは積極的に生き物を探す事をしなかったから、というのが主な原因。
本当はどこかに何か、いただろう。
しかし自身が発火しそうな暑さの中、人のうちの田畑を探索するというのは何か面倒なことになりそう。
そう思ったら、もう歩くのはいいかと憑き物が離れたかのような気分になった。
対岸には来ているものの田んぼゾーンからどこか出られるような道も見つからず、結局「北竹」駅に戻る事にする。
遠い。
しかし仕方あるまい。
戻ろう。
ともかく僕の人生において、「台湾の北竹駅から一駅分歩こうとしたが戻る」という項目にはチェックがついたので、次誰かに「あれお前、台湾の北竹駅から一駅分歩こうとしたが戻るっていう項目はどう?」と聞かれたら「チェック済みなのでもうやる必要はありません」と答えられることになった。
橋げたの影では、まだ誰かが寝ている。
お前が憑き物だったのか。