日本のことなのだが、毒蛇に噛まれた対処法は「何もしない」が一番いいのだという。
それは日本に極めて強力な毒を持つヘビがいないこと。
そして素人発想による暖めたり冷やしたり切開したりというのが、むしろ症状を悪化させてしまう。
そういうことに起因した「何もしない」。
包帯で縛ることすらやらなくてもよい。
やるとしても患部と心臓のあいだに、幅を広く、しかも相当緩くやること。
そしてあせらず、すみやかに医者に行くことだそうだ。
となると、「毒蛇に噛まれた人に対し、やたらと自慢話をしてくる人」というのは、かなりのものであることがわかる。
通常、人はヘビがいただけであせり、それで噛まれたなどというとたいへんだ。
そんなときに「何もしない」というのはなかなか難しい。
「毒蛇に噛まれた大変だったけど、どうにか生還しました」という旨の自慢でさえなければ、噛まれた人を動揺させることもなく、しかも、どうでもいい自慢話はなんとなく相手の代謝を下げそうな気もする。
「何もさせないために自慢話を聞かせる」というのは、案外いい方法なのではないだろうか。
だから、キャンプなどへ出かけるときは自慢話ばかりするやつを連れて行くとよい。
料理中などには格好のいじられ役にもなってくれそうだし。
もちろん、自慢話ばかりをするやつが毒蛇に噛まれることもあるだろうが、安心してほしい。
彼彼女はそのとき、まさに「毒蛇に噛まれた大変だったけど、どうにか生還しました」を体得できるという気持ち一杯で、元気なはずだ。