そこにはバス停があるはずなのだった。
南天。
しかしネットで調べてもいまいちな反応。
ネットとしても不安なのだろう。
「そこ、ほんとにあんの?」
牛深市を目指している理由というのは、その南天の場所がいまいち絞れないからであって、とりあえず街へ出てから考えるか、という軽い気分だった。
しかし市街へ到達するずいぶん前から、なんとなく見覚えのある町並みへと車を走らせていることに気づいた。
南天が近いのだ。
魚貫(オニキ)を通り過ぎると、僕が小学生の夏休みに過ごした岩だらけの海岸が少しも変わらず現れた。
今日は引き潮。
間もなく、バス停が見える。
たぶん恐ろしく錆びているだろうが、おそらく南天のはずだ。
小道に入る。
おそらく何もかわらない、お地蔵さんがまつられているはずだ。
何もかわらない空き地に車をとめる。
「炭坑で栄えた町」という言葉がぴったりな、ごく小規模の集落が見えるはずだ。
後ろが山で、前が海というプレイバリューあふれる立地。
近所のお店は20年ほど前に閉店して、それ以降ない。
炭坑はそうなのだろうか。
えらくもろくて崩れ落ちそうな山肌。
でも、今回はいることができないけど、ここの星空のすごいことを、僕は知っている。
南天、到着。
12時過ぎ。