ルート225
著 志村 貴子(絵) 藤野 千夜(字)
概要
思春期な姉弟が、やんわりここと違う平行世界へ迷い込み、ご飯を食べたり道を歩いたりする。
全1巻。
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概要は先ほど挙げたもので、誰もが夢見し、想像しのパラレルワールドな感じ。
※小説、それを原作とした漫画とあり、今回は漫画版を取り上げている。
評価ポイント。
それは姉が終盤で発する一言で、ともに変な世界に来てしまった弟、ダイゴに向けての感想。
「5cmも伸びやがって。」
小説版でもお年頃な彼らの心情やその移り変わりなどが書かれていたけど、漫画版のこのセリフときたら、どうだ。
※多分漫画版のみのセリフだと思うが、原作にも書いてあったら、ごめんなさい。
もちろん、物理的に5cm伸びたこと、だけを表現しようとしたセンテンスではない。
このセリフは「今まで一緒にパラレルワールドに来たと思われるダイゴが、実はまた別の世界のダイゴなのでは?」と読み手に思わせることも、できるだろう。
だが、なによりも、このセリフは「姉と弟の関係の微妙な変化」も示唆している。
前まで頼りなかった弟の成長を目の当たりにし、姉は少なからず困惑するのだ。
これは姉であり、同時に少女である主人公が持つ、あやふやで抵抗性のない心の一面を十分に引き出せていると言える。
そこが重要、と考えるなら、実はこの物語、パラレルワールドとか、かなりどうでもいい。
物語のきっかけとしての役割だけとなる。
日常生活でも十分にそれに匹敵する変化が起きており、そんな世界に対して少女はどうするのか。
それを表す端的なセリフのひとつとして「5cmも伸びやがって。」があるのだ。
って、近所の佐竹さんが言ってました。
僕はうかつにも、全くそんなことを考えずに原作を読んでいたので、この一文を読んだとき「うわー、読んでるとき、うかうかし過ぎてた!!」と少し反省した。
そして、成長期にあまり身長が伸びなかったことに対し、姉に少し申し訳なかったな、思うのだ。
「5cmも伸びやがって。」 あやかりたい。
評価:★★★★★