深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)
著 沢木 耕太郎
概要
ベトナムやマレーシアを著者が訪れ、うろうろする。
旅先の人に会ったり、会わなかったり、バスに乗ったり。
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地に足の着いた旅行記を目指した、という感触。
そして読み物としても成功している。
風化してしまっている内容もあるらしいが、水を飲むようにするする読める。
ところどころの感傷的な描写は、読み手がどれほど「家⇔学校、勤務先」以外の道を経験しているかによって、印象が変わるか。
と、僕の評価対象は文庫版で6巻まであるうちの、2巻になる。
本書には人とのふれあいだけでなく、他国ならではのスリリングな場面も多く記されている。
それが読むスピードを高めるわけだが、一番スリリングな場面は、実はあとがきっぽい場所にある「対談」。
著者の沢木耕太郎氏と、不器用でおなじみの高倉健氏との対談にある。
この中で、高倉氏は「自分の死」について、すこし触れている。
「いまだったら、アクアラングで潜ったままぜんぜん出てこないというのがいいですね。」
「なんだかカリブ海に潜りにいったまんま上がってこないよ、というのが一番いいですね。」
潜ったまま、浮いてこない高倉氏。
・・・お、おもろい!!。
本書の何ページを読めばいいかを問われたら、間違いなくここを挙げる。
高倉健がシュノーケルをくわえる。
評価:★★★★★