「ミミナガウサギ」。
例えば新種のうさぎが見つかったとして、その和名が「ミミナガウサギ」になったとする。
みんな不思議に思う。
何をもう一度確認しているんだ、と。
もし最初に発見されたうさぎが「ナキウサギ」だとして。
(確かナキウサギは耳がちっこかった気がする)
それなら、大抵のひとの思いつくようなウサギを目の当たりにした人が、その驚きとともに「みみながっ」と叫ぶのも、ある話である。
しかし僕らは「ミミナガウサギ≒ウサギ」を一般常識として知っていて、ウサギとくればほれ、みみながだよ、と考えている。
そんな世界での「ミミナガウサギ」。
耳の長いことが長所かどうかとなると、野生ではイケてるが、そこ掴まれて持たれちゃう。
そんなことを鑑みると微妙だが、おそらく「ミミナガウサギ」は長所のうわぬりなのだ。
この手の創作動物はたくさんいるだろう。
「ハナナガゾウ」
「クビナガキリン」
「トビムササビ」
「カミワニ」
「ナキコオロギ」
こんなことになってしまったら、そら鼻の長くない象はいるんかい、とかなり、おそらくバクっぽくて原始的で不人気である。
ただ、一方で「ホエザル」や「ムシクイ」など、長所でもなさそうな上に手抜き感炸裂な感涙ものの本名たちがいる。
彼らのことは傷つけたくないよね。
さて、長所のうわぬりが楽しめるものは、何も動物ネタだけではない。
「いやあ、横線を描くのがうまい上に縦線もうまい。これで円を描くのもうまいってんだから。絵がうまいねぇ」
ここまではいかなくとも、この手のことを言うおっちょこちょいさんはたくさんいるだろう。
次回、その辺なんか考える。