昨日からのつづき。
【概要】
?障害物競走のあけぼの?
原始的な障害物競走の誕生
?体系確立?
穴々越え越え競争の誕生と流行
?転機?
積極的障害競走の誕生
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?近代における障害物競走?
穴々越え越え競争選手ニギの発案した競技を聞いた委員たちは、あっと何かに気づいたような表情を一様に浮かべたという。
彼の案は単純だった。
「障害物たる穴を、より積極的に障害できる、人にかえる。」
さっそく、詳細な案が練られた。
障害人は選手を体で遮ってよいが、触れてはならない。
障害人は選手を追いかけてよい。
選手からは、障害人に触ってもよい。
など・・・。
人々は、穴々越え越え競争とはまったく違う、ダイナミックなこの「積極的障害競走」に熱狂した。
迫る障害人をいかにうまくさばくか。
追いかけてくる障害人たちを後ろに、ゴールへ駆け込んでくる選手は半英雄化された。
そして、その英雄は、ほとんどの場合がニギだったのである。
この流行に疑惑の暗雲が立ち込め始める。
「どうにも、ニギへの障害人がまじめにやっていないように見える。」
些細な投書だった。
しかし、調査をするまでもなく、問題点が浮上した。
ニギが障害人に賄賂を握らせていたのだ。
そして、その見返りとして
・自分(ニギ)に対する遮りをゆるくすること
・自分以外の選手への障害は、ばっちり行うこと。
・もしやり過ごされても、相手を追いかけていき、あわよくば追い抜くこと。
このような問題点が生じては、もはや「積極的障害競走」に競技としての面白さを求めることはできない。
二ギがその世界から追放されるとほぼ同時に、世界の人たちは「何かいい競争はないか」と探し始める。
「やはり、賄賂で動く障害がまずいのではないか。」
「モノなら、そんなことにはならないのではないか。」
現在見られる「障害物競走」の時代が始まろうとしている。
明日。
現代の障害物競走。
未来の障害物競走。