ゲリラホワイトデーというのはつまり、「下心とかなく、ただおごりたいだけだがちょっと恥ずかしい。あるいは相手が妙なところでそういうのにキビシイ」というときに発動するもので、「残念だったな、今日はゲリラホワイトデーだ。すでに払われてしまった我が身を呪うがいい」というふうに使う。
ゲリラというとずいぶん自己中心的な、ひとりよがりな感じのするところだが、ゲリラホワイトデーはだいぶ相手の力量も問われるものとなっている。
「えっ、何言ってんの?」
これだけで言霊は死に、気分は消沈し、改札は予想外のタイミングで閉じ、おちゃめはそのなりをひそめる。
「ゲリラという言葉とホワイトデーという言葉の意味を、その落差を。よきにはからって。そしてもし面白かったら、楽しんでくれよこのやろう!!」
ただ彼が、来年2月あたりに発生するかもしれないゲリラのことを思うことは、けっこうおつである。