運転中に「色あせた若葉マーク」を見かけると、何か引っかかるものがあるのか。
そのことばかりを考えてしまう。
何なのだろうか、あの感じは。
久しぶりに物を口にしたときの、歯の奥の方がいたたまれなくなる感じ。
たまたまご飯を食べていなかったあとの、かぼちゃを甘く煮たのを食べたときの、顎がより、かぼちゃを強く噛もうとする感じ。
夜に食べ放題に行くときための準備をしている状態のときの、空腹しのぎのガムを噛んだときの、指先がぴりぴりする感じ。
上記2つは歯が疼いているのだろうが、不思議なのが「指先がぴりぴりする」感じだ。
他の人はどうなのだろう。
久しぶりに何かを食べたとき、指先がぴりぴりするのだろうか。
歯の神経が指先に何かを伝えるのだろうか。
指先に歯が伝えたいのは何なのだろうか。
これ、おいしいから次もよろしく。
これが、一番ありえそうなことだ。
でも、歯自体は味がわからない。
そうなると、歯の「噛んだこと」の伝えに加えて、舌の「おいしい感じ」や視覚の「食べ物の認識」などが合わさって「これ、おいしい」となり、それはたぶん脳に行くのだろう。
そのシグナルの、余ったもの、余韻なのではないだろうか、指先のぴりぴりは。
そうなるとわざとらしく話を逸らした「色あせた若葉マーク」と「余韻」というものは、主にノスタルジックな感じのやつでうまくまとめられそうな気もするのだが、たぶん僕が引っかかることは、そんなことではない。
「若葉マークを買い直すことは、けっこう面白い」
これだけ。
これだけである。