我が家には柿の木があって、手入れをしていないからか。
見かけは半分枯れかかっているように見え、幹も細い。
しかし秋には、柿の木を通して空を見上げれば茜色の夕焼けを思い出させるくらい、実がなる。
ただ、kiroroが待たせていたくらいの長い間、柿の実をほったらかしにしてきた。
せいぜい、人に迷惑をかけないようにくらいは切り取っていたが。
それは家族のものがあまり柿を好かなかったからで、なぜそんな家に柿が植わっているのだと、甚だ疑問なのである。
そもそも、渋柿だし。
しかし、試しに干し柿にしてみたところ、それを振る舞った人たちにはなかなか好評で、やっと柿も活きてきた。
柿も自身の活躍の場ができて、満足だろう。
また妖怪の話で恐縮だが、「たんころりん」という妖怪がいる。
こいつは確か、柿の妖怪で、秋。
せっかく実をつけたのに誰も取らないような柿の木があると、おじさんの姿で化けて出る。
やることは、このおじさんはうろうろ歩きながら、柿を落としていくこと。
要は、誰も柿を取らないものだから、柿としては実が重くて仕方がない。
実を落としていく事で身軽になろう、あるいは誰か実を取ってくれよ、ということなのだろうか。
この話で感慨深いのは、何よりも「昔から柿、持て余していました」という点だろう。
程度の差はあれど、今も昔も、特に商品として実を扱うような環境ではないところでは、それは持て余すものなのである。
ともかく、その点では、我が家は柿の活路を見出した点で、たんころりんに感謝されなければならない。
ただ、うちに訪問されたらどうするか。
そこで柿を落とされても困るし、そもそもひからびたようなおじさんが来られても困るのである。