なぜか台北 その53

【あらすじ】
台湾旅行。
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石畳に見事な直線のシュプールが刻まれているそこは「忠烈祠」というところで、やはり有名な観光スポットであるらしい。
広い敷地を囲むかのように点在する碑などの感じから、日本のどこかのお寺のような雰囲気。
この感じからすると、猫がいるに違いないと探したが見つからず、その間にも交代の時間だったのか。
兵士達は儀式じみた動きと遅さで歩いていき、石畳と自分の靴底を削っていく。
そう。
石が削れて跡が残るというのもすごい歴史だが、同時に多くの靴が使えなくなってしまったはずだ。
あるいは今まさに兵士が履いているものが、靴底を補填し続けたものだったりするのだろうか。
猫は見つからないが感慨深い。
頭の中にターンエーガンダムの「軍靴の記憶」が流れてきた。
交代した兵士は、門前で微動だにしている。
この微動だにしないことが、ここでは有名らしい。
そうだ。
兵士は微動だにしないに限る。
裏を返せば、兵士が動いているときはろくでもないことになっているはずなのだ。
兵士の横をゆっくりと歩いたり空を見上げたりしたのち、出発する。
ここでは、感慨は見つかったが猫は見つからなかった。
石畳のシュプールにも、肉球の跡は見られなかった。

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