【あらすじ】
台湾旅行。
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ホテルに戻ってきた僕はシャワーのありがたさをさらに高めるため、わざと入らずに食事を取る事にした。
ホテル付近には屋台街みたいなものがある。
そこに繰り出す事にしたのだ。
長時間の徒歩と日照りまみれの体は言う事をきかず、もうここは横になるのが最善ではないかとベッドへと向かおうとするがそれを抑え、外に出る。
早朝に見た屋台街は、午後4時と中途はんぱげな時間にも関わらず小物を売ってくれており、そのどれもがおいしそうだ。
多いのが小さい肉まんのようなもので、何が入っているかはよくわからないがマズイはずはない。
1個でよかったのになぜか5個入っていたそれとシャーピンを購入した。
シャーピンというのは肉まんをひしゃげさせて焼いた。
そんな感じの食べ物で、非常にうまい。
実は近所にこれを売るところがあり、なじみがある。
台湾のそれは日本のと比べてどうだろう。
そんな興味も生じさせる。
ただ、僕の知っているシャーピンよりも台湾のここのは薄くて大きく、具材もネギくらいのようだ。
そして辛い何かを付けるらしい。
お店の人は、僕がシャーピンに何を付けるのかと問われたときの「特に何の付けなくていいよ」に驚き、もしかしてあなた日本人?と聞く。
そうだというと、これはたいがい何か付けて食べるものだからと教えてくれ、控えめに辛い何かを勧めてくれた。
それは見るからに辛そうで、いやちょっと辛いものは苦手で、と身振りそぶりでどうにか分かってもらえた。
そうなの。
苦手なら仕方ないわよね。
あはは。
うふふ。
4分割されたシャーピンを挟んでの、心あたたまるワンシーンである。
僕は辛いものを付けてもらわなくても、心あたたまったよ。
これ、どう?。
それにしてもこの段階でだいぶ買った。
肉まん、結果的には青菜のみが入っていて肉がないまんだったのだが、それをひとつほおばりながらも、ついつい鶏肉入りのラーメンを提供するチェーン店に入ってしまった。
なんか麺を食べたかった。
肉まんもどきとシャーピンでほかほかする鞄をさげて、僕はそこで排骨ラーメンを食べる事になる。
接客のおばさんは僕がつたなくヌードルだとかなんだとかを言うのをちゃんと聞いてくれた。
僕が麺とからっからに揚がった鳥の唐揚げが別々に出てきた事に驚くのをみて満足そうだった。
麺はスープもそれもおいしく、唐揚げも揚げたてでうまかった。
しかし、鞄の中のことを思い出し、憂鬱にもなった。
確実に食いきれる量ではない。
おばさんにほかほかの鞄を触らせたらどうなっていただろう。
ちゃんと店から追い出してくれただろうか。