なぜか台北 その27

【あらすじ】
台湾旅行。
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「樹林行き」らしい列車はほどなくしてホームに侵入してきた。
日本のそれと比べて、多少ごつごつ感、ロボット感のする車体である。
入ってみると2つ一組の座席が進行方向を向くように、両側2列に配置。
ちょうど新幹線のような座席配置である。
極力最後尾に並んでいた僕は、前の人がどういう挙動をするかを観察する。
彼らは特に座席のことを調べるふうでもなく、各個自由に座っているようだ。
座席指定がないことを確認した僕は、世界の車窓を意識した訳ではないが、窓側に座る。
樹林までの短い間ではあるが、風景を見たろうかと思った訳だ。
前の座席には足置き場のような付属品がついている。
松山駅ではそれほど乗客はなく、自強の電車内は閑散としている。
前の座席で、おじさんが新聞を読んでいる。
斜め横では学生が友達と何か喋っている。
「チュカさんは、遠い親戚の結婚式に向かうそうです。おみやげを見せてくれました」
「学生のヤムさんは、休日を利用して友達と旅行に行くそうです。楽しそうですね」
世界の車窓風に言えば、こうなるだろうか。
「チュカさんは、この列車で心臓発作を起こした地縛霊です。新聞も読み飽きて久しいですね」
「学生のヤムさんは、休日を利用して耳の穴に何個フリスクが入るか試すそうです。SHARPENS YOU UPですね」
電車は10分程度松山駅ホームに停車したのち、それほど乗車を促す事なく唐突に発進し始める。
さてさて、目的地の「樹林」はどんなところかしら。

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