髪が伸びてきた。
かなりうっとおしいことになっている。
しかし髪を切りに行くのがめんどうくさい。
どうすればいいんだ。
もちろん、いつかは切りに行かねばならない。
昔「僕の髪が肩まで伸びて 君と同じになったら 結婚しよう」みたいな歌があった。
偏見が多分に含まれるが、男がそこまで伸ばすのは相応に長髪が似合う者でなければならないと思う。
そしてそんなにたくさんはいない、その者。
だから僕はこの歌を聴くたびに「女の子のほうは、相手の髪が肩まで伸びたら別れようと言うんじゃないか」と思ってしまうのだ。
逆に「僕の髪が床まで伸びて?」とかだと、それはもう何らかの強い意志が感じられ、願掛けみたいなことになっているだろうから、むしろいい。
どちらにせよ、いつかは切らねばならない。
美容室に電話してみる。
「早くて19時になっちゃいます」
よく言われる「夜に爪を切る事を戒めたのは、暗い中で爪を切る事で怪我をしてしまうからだ」というのが本当ならば、「19時に髪を切る」というのは自殺行為なのだろうか。
以前書いたかもしれないが、散髪中の人はきわめて無防備である。
美容師さん由来の殺意はもちろん、頸動脈を狙うねずみにすら勝てないだろう。
「じゃあ今度にしますわ」
延命。