「鈴木さん。なぜあなたは犯人がバタフライナイフを凶器として使った事をご存知なんですか?」
刑事ドラマなどで見られる手口、「犯人しか知り得ない事を言わせてみよう法」だ。
実際には知らないが、少なくともドラマでは数々の犯人がこの手口にかかっている。
そしてああバタフライナイフじゃなくてナイフって言えばよかった。
何を詳細に供述しとるのだわたしは、と涙を取調室の机に落とすのである。
この手法はドラマ的にも刑事の冴えが光り、かっこいくなる。
ただし、これは刑事のぎりぎりの攻防が見受けられるべきものだ。
犯人に「あ、こいつバタフライナイフって言わそうとしてる」がばれては失敗、それどころか今後の調査方法も見直さなければならないからである。
刑事「えーとなんだっけ、なんとかフライナイフを使って脅したんじゃないのか!?」
これではだめである。
バタフライナイフと口にした犯人は、そのことを指摘された後、当たり前のように「なんとかフライナイフじゃ、バタフライしかないじゃないか」と。
刑事「サバイバルナイフを使って脅したんじゃないのか!?」
これなら、犯人が「バタフライナイフなんて持ってませんよ」とでも言ってしまった時点で刑事の勝ちっぽい。
あーたあたいはサバイバルいいましたけどね。
刑事にんまりである。
しかしこれはどうだろう。
刑事 蝶の絵を描きながら「サバイバルナイフを使って脅したんじゃないのか!?」
さきほども言ったように、刑事もかなりなプレッシャーなのである。
意識せずにバタフライを書いてしまった。
これはむずかしいところだ。
犯人が「刑事さんがバタフライ書いていたからだろ!!」と切り返してきたら、もう刑事としては蝶のことを普通バタフライって言わないだろと決め手に欠ける主張を通さざるを得ない。
裁判では犯人の蝶に対する認識が争点となりそうである。
と、書こうと思っていた事を思い出した。
今回の「犯人しか知り得ない事を言わせてみよう法」。
その「知り得ない事」がユニークであればあるほど、犯人は言い逃れできないものである。
「鈴木さん。なぜあなたは犯人が男であることをご存知なんですか?」
「鈴木さん。なぜあなたは犯人がパラグライダーで脱出したことをご存じなんですか?」
こういうこと。
夢広がる感じ。
とりあえずタクティクスオウガのことを鑑みて、そのへんは次回。