わきまえる血族

血液型で性格はたまた運勢というのは、なかなか面白い。
しかし、特に日本人はこれをいろいろ気にしすぎ、と指摘する話は多い。
「私、えりなです。うお座のB型です☆」
さすがに初対面、あるいはすれ違いざまにこう切り出されることは、まあないだろう。
せいぜい献血のときか、救急車内である。
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「出血がひどいな」
「あんた意識まだあるか」
「おい輸血の準備!!」
「私、えりなです。うお・・・座の・・・Bが・・・」
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老婆心が出てしまった。
ただこの台詞が意図的だとすれば、彼女はかなりデキる子である。
話がずれた。
「私、えりなです。うお座のB型です☆」
とはいえこのような言葉は、全く聞かないという感じでもなく、そして3番目である。
プロフィールのランキング3番目が血液型なのである。2位の星座もかなりふわふわしているが。
もっと3番目にふさわしいプロフィールは、人にはないのだろうか。
「私、えりなです。うお座で、一番好きな四則演算は÷です☆」
どうかという意見もあるだろうが、僕は血液型などよりも「ひととなり」が明確にされている印象を受ける。
「お、こいつみんなと仲良くなろうとしているんだな」というのも感じる。
そして展開がある。
血液型でも「俺はAでさー」などの派生ができるが、四則演算でも、いける。
「俺は×(かける)が好きだよ!」
経験則からしても、相性がいいに違いない。
「私、えりなです。うお座で、毎日30分の仮眠を取ることが健康の秘訣です☆」
健康は大切であるため、こういった切り出し方もあるかもしれない。
毎日30分行っていることと言えば、プロフィール3位であってもよさそうだ。
そしてやはり「お、こいつみんなと仲良くなろうとしているんだな」というのも感じる。
しかしどうして「それを聞かされても・・・」という気になる。
それは血液型だって、そうだったはずなのだが。
さてここまでくると、血液型が担っていたもうひとつの意味を知ることができそうだ。
ひととなりを明らかにしたくないということ。
それは、あたりさわりないことでして。
つまり礼儀ってやつだ。

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