今頃になると、白いシャツで自転車でそこらを走り回っただけで、シャツに様々な小虫がついてくることがわかる。
そういう季節なのだ。
彼らは一様に蝿の小さくなったような「なり」をしており、和名も学名も分からない。
分かっているのは「口に入ってくるといやだ」という経験則由来のことと、入ってきたそれをあわてて口から出そうとする人が自転車をこぎながら向かってくる様はちょっとおもしろそうだ、ということくらいだ。
ぺっぺぺっぺしているので、縄張りを主張しているみたいに見えるはずだ。
この、困った小虫について、どのような対応をすればいいのだろうか。
多くの人は、つぶすはないにしても、手ではらうのではないだろうか。
ここで気をつけたいのが、体液がやばい小虫たちだ。
虫のいくつかは、古来より薬にされたりするものもある。
手ではらうことでの事故死による体液流出は避けなければならない。
そこそこ大きい虫なら、そんな体液を持つものだったとしても大丈夫だろう。
というのも、その手の虫は、正直手ではらうことすら恐怖を抱かせるため、吐息での除外が試みられることが多く、その点人も虫も安心なのである。
困るのは小さい虫で、ぎりぎり手ではらってしまおうという気にさせる連中だ。
例えばかぶと虫の仲間にハネカクシという、かなりかぶと虫っぽくなく、小さい。
そして本人が「ほっといてくれよ」といいたくなるような名前の虫がいる。
ある種のハネカクシはかなり症状がひどくなる体液をその小さな体に宿す、自爆キャラだ。
そんなやつもいるので、やはり虫は大小問わず、吐息による突風を利用した虫とばしが必須テクだと言えよう。
さて、この手の小虫問題。
僕は、実は数%くらいは「知人が何らかの理由で小虫になってしまって、助けを求めに来たのではないか」と考えてしまう。
何か、昔見た映画の影響だろうか。
ともかく、その可能性は皆無だろうが、僕は最悪の状況をも視野に入れて行動していると考えれば、どうだろう。
このときの最悪は、皆無に勝ってしまっているようだ。
先ほどのことからしても、僕は小虫を無下のどうこうとは扱えない。
敬意を持って、ぺっ。
口に入ってしまったものは、仕方ないのであるが。