感謝祭その1

「注射システムでさえなければ、いくらでも献血したるわい」という人もいるのではないだろうか。
大抵の人は注射が痛いので、血管に管を入れる献血の方法がなんとか違うやり方になりさえすれば、もっと献血人口は増えると思う。
話は変わっていないようで変わるが、少々昔の献血の話。
何の因果か献血カーに並んでしまい、うかつにも管を通されてしまったことがある。
要はただの献血のシーンなのだが。
僕はよほど深刻な面持ちをしていたのだろう。
「だいじょうぶよ」と、深刻な面持ちの原因行為を行った看護士のおばさんはにこやかに。
ゆっくりと血が抜かれていく。
頚動脈を切られた羊はこんな気持ちなのかと・・・。
と、そのとき奇妙な感じがした。
少し気持ちいいのだ。
何か、はりつめていたものがやわらいだような。
すっきりとしたような。
僕は血圧が高めで、それが血を抜いてもらったことによりちょうどいい塩梅になったりしたのかしらなどと考えたが、その理由は定まらない。
管を抜いたあとも、瞬間は痛かったが、そのあとはなにやら軽妙な感じ。
なんだ、俺は今までずっと、血が少し多いチームだったのか。
今のでちょうど良くなったのか。
今思えば度を越えた献血への恐怖が和らいだのかもしれないし、血圧が一時的に低下したときの症状なのかもしれない。また、血を抜くとき気持ちいいのは一般常識であり、僕がそれを知らなかっただけかもしれない。
このまま何事もなければ、僕は献血注射大好きになっていただろう。
しかしその後、ちゃんと(?)気持ち悪くなってしまい、いまだに苦手分野だ。
で、そんなとき、「血を抜く」「気持ちいい」のキーワードで、僕はまた別のことを思い出していた。
次回・・・スーファミ「弟切草」の話。

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