珈琲十連・銀色の風

エスプレッソマシンというものがある。
その名のとおり、エスプレッソを作るための機器である。
様々な種類があるのかもしれないが、僕の見たことがあるのは、挽いた豆をセットし、水をセットし、なにやらすごく熱くなり、そして滴る、そんなマシンだった。
この手の機器で絶えず議論されるのは、ジューサーや電動泡だて器に代表される
「人生で2回くらいしか使わない」
「洗うのが面倒」
という2大巨塔である。
毎朝バナナオレが習慣になってしまえばいいのだが、それがない場合、なかなかジューサー大活躍、とはいかない。
同様に、毎夜ホイップクリームを体に塗りますとかなってしまえばいいのだが、それがない場合、電動泡だて器皆勤賞、ともいかない。
ざんねんだ。
さて、くだんのエスプレッソマシンと言えば、毎日とまではいかないまでも、毎週土曜日の午後なんかに登場。
その持ち主も交えての、小さい茶会が思い出される。
エスプレッソの香ばしさと苦味で、FLOのキャラメルプリンタルトがよくすすんだ。
ということで、このマシンは「人生で2回くらいしか使わない」シーンを回避することができた。
しかし、もう一つの巨塔「洗うのが面倒」は、どうにもならなかったように記憶する。
確かけっこうな具合にバラして、管には水を通して洗ったような・・・。
そうしないと、マシンの細かいところに前回のエスプレッソ分(ここではエスプレッソっちと呼ぼう)が残るのだ。
※このことは、人によっては「人生で1回だけ、エスプレッソっちに会う」ということを表している。
すなわち、「人生で2回しか使わなかったが、しかも洗わなかった」である。
まあ、こういったイベントがあったせいか、僕としてはジューサーなどのざんねんさはエスプレッソマシンにはそう感じない。
エスプレッソっちにも会わなかった、というか会っていたとしてもそれがエスプレッソっちなのか、入れたてのエスプレッソなのか、判別はつかなかっただろうが。
とにかくコーヒーも飲めたし、タルトもおいしかったしで、僕のコーヒー好きには、この午後がいくらか影響しているのは間違いない。
ただひとつ、このことを思い出すたびに、少し納得ならない気持ちが出てくることもある。
そのときのメンツを思い出してみると、どうもマッドハッター担当は僕くさいのだ。

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