前に書いたかもしれないが、とにかく「子供に何かを叫ばせてはいけない」んである。
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「一緒に、遊園地で遊ぶって約束したじゃないかー!!」
もちろんこういったものも、子供に叫ばせてはならない筆頭だ。
しかし、今回触れたいのは、テレビ番組でよく見られるもの。
それは主に幼稚園に触れた内容のシーンにある。
「ハンバーグ、大好きー!!」
卒業式でのクラス集合写真のように並んだ園児達が、口を大きく開けてそういう。
この番組では、何かハンバーグに関係する特集を組んだのだろう。
ここで、テレビ側はそのシーンを取るために、どうしたのか。
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?園児達がそういう風になるまで、待った。
?CG
?園児達に「じゃあみんなせーので、ハンバーグ大好きって言おうか」と依頼した。
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?は、おそらくお湯を見ていて、それが熱湯と冷水に分かれる瞬間を撮らえるよりも難しいと思われるため、除外。
?は、明らかに何らかの情報操作が行われているため、除外。
ということで?のCGである。
とりあえず?なのだが、これ自体が悪いわけではない。
「子供に何かを叫ばせてはいけない」ことで悪い点は、「そう叫ぶように子供に頼む大人」の存在を受け手側が気づいてしまうことである。
もちろん、その大人の依頼が悪質なものであったとするならば、受け手どうこう以前の問題である。
子供は計算済みとよく言われるが、一方多勢に無勢的な考えもし、みんながやるなら(叫ぶなら)、僕もという風になりがちである。
そこに悪意のある叫ばせを故意にさせた場合、それは根源的に、いかん。
「じゃあみんなせーので、スカートめくり大好きって言おうか」
「じゃあみんなせーので、大根をおろすの大好きって言おうか」
「じゃあみんなせーので、田辺主任の人事配分大好きって言おうか」
うーん、いかん。
一方、それに悪意がなかったとしても、先ほど挙げた「叫ばせる大人に、受け手側が気づいてしまうこと」が問題となる。
本来子供が叫ぶ内容というものを、私たちは自然と体得している。
残念なことに、それをダイレクトに表現する言葉はない。
言葉を成していないのであるから。
だいたいは泣き叫び。
ときどき人名や「買って」という言葉が聞き取れる。
その程度。
それゆえに、それ以外のことを叫んでもらっても、それは心に響かず。
もっと別のことが気になってしまうわけなのである。
「ハンバーグ、大好きー!!」
だからこのとき、およそ80%の人は、今晩のおかずのことでなく、後ろの保母保父を見ている結果となるわけである。
子供に叫ばせるな。
今ウケるものとは、受け手に余計なことを考えさせないものである。かも。