ガダラの豚。
故・中島らも氏の代表作で、文庫本で「?」「?」「?」と3巻まである、面白いが少々購買意欲を削ぐ小説。
集英社文庫から出ていたが、近頃双葉文庫でも出たようだった。
僕はさっそく双葉文庫版の「上」を買い求め、その紙に書かれている文字をひとつづつ見てみた。
要は、読んだ。
この小説は、前半のまぁまぁ安穏な雰囲気と、後半のVガンダムさながらの赤血球流出な雰囲気の落差を楽しむものであると、僕は勝手に解釈している。
後半あたり、らも氏はだいぶニヤニヤしながら書いたのでは、と思う。
とりあえずそれはどうでもよく、とにかく「上」を読み終えた僕は、「中」を探した。
ところが、どこの本屋でも双葉文庫版の「中」がない。
なぜなんだ。
ふと、集英社文庫の方「?」があるのを発見。
うちにあったかどうかもわからない。
とりあえず「?」を買ってみた。
・・・なんということでしょう。
「?」の前半、半分くらいが、双葉文庫版の「上」のかぶった内容なのである。
「上」のつづきが見たいのに、それは?の後半、からなのである。
どうやら、集英社文庫で?、?、?の3巻として出していたものを、双葉文庫は上下の2巻で出したということのようだ。
僕は、その内容のりしろ部分を読み飛ばしながら、なぜ「?」を買ってしまったのだろう、と後悔した。
そうだ。
集英社文庫の「?」を買ったのは、双葉文庫の「上」のつづきが読みたかったが、双葉文庫の「中」が見当たらないから、という理由からでなのであった。
しかし、そもそも双葉文庫の「中」なんてものは、はなからない。
のりしろに強い憤りを覚えていた僕は、自分の方に過ちがあることを認めざるを得なかった。
ありもしない「中」を勝手にあるものだと勘違いし、セール日を間違えて、ありもしない安い卵を探し求める主婦のようになっていたのである。
「なんで僕、「中」があると思い込んでいたのだろう?」
すぐにわかった。
僕は以前から「ガダラの豚」が、文庫版で3巻まで出ていることを知っており、もちろん今回の新刊もそうであるに違いないと勘違いしたのだ。
だから、その「上」を見て、何の確認もせず「中」があると思ったのだ。
どうやら僕にとって、ガダラの豚はその内容もさることながら、とにかく3巻もある、やたら長いヤツ。
とにかく3巻もあるのかよ、という認識なのだった。
今、部屋の床に、その小説が3冊、平積みされている。
下から、上??の順だ。