鍵の数

僕らはいつからか、誕生してからそう長くないころに、言葉というものを知る。
声をかけられたり、本を読んでもらったり。
そしてまた遠くない日に、部屋に置いてあるお菓子の箱に書かれている字をどう読むかなどを、たずねる。
そんなこんなで、次は色々なものを読んでみる。
こんな感じで小学校などに行くと、簡単な物語を読むこととなる。
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ここまでのシーンにおける言葉の「読み出し」は
わたし、であったり、
ビスコ、であったり、
テレビ、であったり、
はんにん、であったり。
まぁ、言葉だ。
ところが、いつごろだろうか。
僕らは「人の話す言葉から始まる文章」に触れることとなる。
出だし、いきなりカッコから始まる文章だ。
「これは、レモンのにおいですか。」
いつか触れた、教科書に載っていた物語(白いぼうし)の、確か最初の一行。
このとき、僕は気になってしょうがなかった。
「カッコからはじまってる・・!!」
忘れてしまっている人も多いかもしれないが、この手の文章に触れたとき、何かしらの感動や衝動があったはず。
その理由は「カッコから始まる」ことが完全に予想外なことだったからに違いない。
当時は「いきなり喋りだして。お前は誰だ。」みたいな印象を、カッコ未経験者は持っただろう。
今でも、カッコから始まる文章に触れると、少しだけどきっとする。
「おい、見ろよ俺。カッコから始めて、読者の心をつかもうとしているぞ。」
僕も無理やりやってみたりするけど、ムズい。
カッコから始めるということについて作者は、明らかに読者に対してかなり積極的に何かを働きかけようとしている。
文章のノウハウなどはまったく知らないが「カッコから始まる文章」は読者にとって、何か、なんかだ。
悪く言うと、ワナっぽい。
もちろんいいワナなんだろうが、何か手中に収まる感が気に食わない!!という方。
何か本を読むとき、カッコから始まっていたら、心の扉をひとつ、閉めたほうがいい。
まぁ、そんな方は既に閉まっていそうだ。
ちなみに僕は、閉めた後で鍵をなくして、久しい。

「鍵の数」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コーラ系で、初めて見るのは、おそらく「さわやかコーク」だと思う。

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