きな粉のいいとこ

僕が、「きな粉」の持つイメージや言葉の「なにかっぷり」をうまく引き出したなと思った作品は、今のところ吉田戦車の「伝染るんです。」のみだ。
おそらく他にも「きな粉」の存在を扱ったものはあるはずだが、残念なことに知らない。
「きな粉」。
いいね。
もちろん餅との相性が抜群であるとか、何か健康面でもよさげ、というイメージもある。
しかし、ここではその存在っぷりがいい、ということを感じてほしい。
たとえば、きな粉のついた食品を食べるとき、彼らは必ずこぼれる。
波打ちぎわに立てられた砂の城なみに崩れやすい。
また、信玄餅のたれや、餅の水分をうまく加えることのできなかったきな粉は、生体から異常なまでに水分を奪う。
そして、奪い終えると同時に、咳き込ませる。
龍角散なみに咳き込ませる。
このような背景からも、きな粉は何か他の食材(水分を多く含む)と合わせて使うものである。
そうすれば上記のような危険を回避しやすくなるのだが、その反面、彼らには調味料ほどのダイナミズムを持っておらず、その存在価値が薄れると思われる。
そのくせ、店頭では堂々ときな粉だけで、大量に売られている。
最近ではその利用するシーンを考慮してか、小分けに袋詰めされた商品も売られているが、その「きな粉っぽさ」は失われていない。
また、「きな粉」はなにも食に関する場面のみに登場するものでもない。
今、僕は黒いノートパソコンを使用しているが、いくら掃除をしても、数日間でキーボード上に「きな粉」みたいなものが認められるのである。
誰だ。
きな粉餅を食べながら僕のパソコンをいじったのは。
さらに「きな粉」の存在は、その言葉自体の持つ何かに代表されると思う。
「きな粉」。
何なんだ。この感じは。
きなって何なんだ。
「キナくさい」という言葉があるが、同じ由来なのだろうか。
それともどちらかがどちらかを参照したのだろうか。
どちらにしても、どちらも「きな」なのである。
僕のように「きな粉」がなんとなく気になってしまったら。
残念な事にきな粉には何の罪はなくとも、きな粉は悪役になってしまうだろう。
一般的なほこり。
きな粉である。
クッキーの食べかす。
きな粉である。
黄砂。
きな粉である。
胞子。
きな粉である。
もし、この世から「餅」が消滅したら、きな粉は
「ほこり」であり、
「クッキーの食べかす」であり、
「黄砂」であり、
「胞子」である、とは言い過ぎだろうか。
こうも「きな粉」を罵倒し続けてきたが、僕自身は「餅には必ずきな粉」だと思っている。
尋常じゃなくおいしい。
だが、きな粉餅を作ったときに余ってしまったきな粉には。
これまた困るのである。
※小さい頃、ダンゴムシの飼い方を調べていて、彼らは「おがくず(木屑みたいなもの)」を食べるということを知った。
もしもダンゴムシをきな粉で育てたら、すごく大きくなるんじゃないかと考えているが、実行していない。

「きな粉のいいとこ」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    KINAKOいいね。
    うまいよ。
    とりあえず、隠れて吸ってむせるといい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です