「お前は31年目を試食品コーナーのタッパの中で過ごすであろう。」
おおばばさまからそう告げられたのは2年前だ。
漬けられて30年。
梅干としてはそこそこありがたがられる歳だ。
だから、私は自信を持っていたのだ。
試食品なんかにはされないと。
でも、今はタッパの中で過ごしている。
お告げは見事に当たったわけだ。
そして今、私は32年物の梅干のサンプルとされている。
30ウン年物の梅干は、ほぼ種なので、誰も食べないのだ。
もし、カメの中に戻る機会ができたら、おおばばさまに聞いてみようと思う。
タッパの中に2年というのも、漬けられていると考えていいのか。
カメの中にいるときには考えられないくらいの早さで年老いてしまった自分を見て、どう思うか。