バベQの塔・続き

(あまり楽できていませんが、10月21日からの続きなんで、先にそちらを)
「そりゃ、いやなものですよ」
「俺がガキのころもそんなものがあったが、何とも思わなかったがな」
「昔はケムシが腐るほどいたから慣れているんでしょう?」
「そういうことじゃない。人間、これからはいやなもの、怖いものがさらに増えていくんだ」
「どういうことですか?」
「お前、死ぬのは怖いか?」
「もちろん」
「戦争は?」
「やですね」
「お化けは?」
「経験ないからかもしれませんけど、そんなには」
「人の話題についていけなくなることは?」
「怖いですね・・・」
「いつもは静かなのに焼肉とかになるといきなり元気になる人は?」
「焼肉が好きなんだなぁと思います」
「ドラマとかで主人公が仲間から疑われるシーンは?」
「耐えられないですね」
「ずっと喋りながらトイレしている人とかは?」
「確かに怖いです」
「熊出没ステッカーをファッションとして貼っている車は?」
「それも怖いですね・・・」
「ほれみろ、たくさんあるじゃねえか。俺の時代にはそんなになかったぞ」
「うーん。何かうまいことやられてる気も・・・。でも、なんでこんなにあるんでしょうかねぇ・・・」
「んなこた簡単だ。塔の上から下を覗き込むとき、高い塔の方が怖いに決まっている。」
「うまいこといいますね」
「偶発的に起きるものに対する恐怖もあるだろうが、結局自分の足元でくすぶってる方のが重要なのよ、そういうとこのが。」
「・・・あなた、誰ですか?」
「・・・知れば、君が怖がるものをもう二つ増やしてしまうだろうな。知らない方なら、一つで済む」
「ははっ、何言ってんですか」
「まぁ、後者だろうな?」と言い、男性はかき消えた。

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