賄賂

羽生くんとプーさんのぬいぐるみ、というとちょっと話題としては古いか。

とにかく、スケートリンクに投げ込まれるプーさんについてだ。

あれは、おそらく登場人物の中に悪い人はいない。
ぬいぐるみ会社が羽生くんに「プーさんが好きだと言ってくれ」と賄賂(プーさんのぬいぐるみ)を渡したでもないだろうし、投げ込んでいるほうはよかれと思っているし、拾う方も悪気はないことはわかっているだろうし。

ただ、結構な量が投げ込まれていた、こないだ見たやつでは。
彼もこうなるとは思っていなかっただろう。

ところで、よかったなと思うのはやはり「羽生くんは忍者が好き」とかでなかったことだ。
リンクに散らばるまきびしで、次の演者は大変だったろうから。

「羽生くんは相撲が好き」でもなくて、よかった。
リンクに積もる座布団が、「この競技はいったい何だったっけ」と思わせるから。

一方、「羽生くんはこんぺいとうが好き」だと、結構いい。
かわいらしいからなんとなく今の彼には合うし、たぶんあれはプーさんより投げやすい。
また、拾いながら食べられるという点が、リンクのメンテナンスに負荷を与えないだろう。

そうなると、歌舞伎揚げもかなり好印象だ。
おいしいし、個別に包装されているから食べられないくらいの量でも困らない。
回収した後に、みんなでもぐもぐタイムすればいいのだ。

ということで、天乃屋は羽生くんに賄賂(歌舞伎揚げ)を渡して「ぼく、歌舞伎揚げが好きなんです」と言ってもらえばいいのではないだろうか。

そして、今回一番書きたかったことがここでやっと書ける。

「どのくらいの量の歌舞伎揚げが、賄賂に相当しうるのか」

地獄

アリジゴクというのは、よく神社の縁側下の砂地に穴を掘っただけの巣を作る、ウスバカゲロウの幼虫である。
彼らがアリにとっての地獄であるならば、人間はあらゆる生物に対しての地獄である、というのは少々卑下しすぎだろうか。

どこかの港町に行って、水槽に沈められたたくさんのカニを見ると、ああ人間というのはヒト科ヒト属のカニジゴクという種なのだな。

そしてそのカニジゴクっぷりをカニに見せてくるわけだが、アリジゴクの(アリに対しての)地獄っぷりに対して、この港町で見られたカニジゴクの(カニに対しての)地獄っぷりというのは、結構様相が違う。
即ち、カニジゴクはアリジゴクに対して比較にならないくらいの積極性をもってカニを地獄に落としている。
待ちではなく、狩りに出ているのだ。

地獄にはかなりの種類があると聞くが、このカニにとっての地獄は、だいぶ深いほうの地獄だろう。

先日、鉄腕DASHでカニを食べているのを見て、あれだけ大きくなるのにはだいぶ年を経たはずだ、かわいそうだな。
と思ったり、さて今度久しぶりにカニに地獄を見せてやろう、と思ったり。

継ぎ足し

うちのはね、もう20年も継ぎ足し継ぎ足しでやっているから。
コクが違うと思うよ。

っていうバーニャカウダーがおいしいお店が阿佐ヶ谷にある。
うそなわけだが、あの料理はそういったことでうまみが増すものなのだろうか。
ニンニクが苦手なので、あまりあのタレを味わったことがないので、なんでこの話題にしたのか、後悔がはなはだしい。

ちなみに気を付けたいのは、冒頭のセリフが「バーニャカウダーのたれ」のこと、と指定しているのではない可能性があるところで、それはもう端的に言うと「毎回、前の人の食べ残しのパプリカの切れ端が付いてくる」ということで、ちょっとあれだね。

食材を捨てる量が多いという不名誉な事実が日本にはあるわけだが、ちょっといやだ。

ということで、ここはひとつその余ってしまったパプリカは煮詰めてタレのほうへ転生させればいいんじゃないか。
それなら「継ぎ足し継ぎ足しで」ってのはあまり間違ったことじゃないし。

体温計

「一息つきたいんだったら、猫の肛門がいい」
「あいつ、確実な数値を叩き出すからな」

どうしても休みたかった私は、何かのハードボイルド小説でそんなフレーズがあったのを思い出した。

ちょうど懐いていた野良猫を見た私は、検便キットでそれをひとなでし、保健所に向かったのである。