ちょっとそこまで。4

熊本駅はなんだか、ダンシングじゃなかった。
降りるところが違ったのか。
大きく「熊本駅」と書かれた白い建物。
その前に商店街。
そんなイメージだった。
ところがなんだか寂しい。
何か他の駅と間違えているのかもしれない。
目の前の噴水で、小さい子とお母さんが遊んでいる。
そうなんだ。
店がないと困る。
今日は朝からあわてて家を出てきたものだから、帽子とサングラスを忘れてきちゃったんだ。
サングラスを現地調達するのは無理だ。
お金もかかるし、度付きはそもそも短時間ではできなさそう。
運転に必須じゃないと判断。
一方、帽子はほしい。
熊本は、日差しが魔法のようだ。
しかしダンシングでない熊本駅。
中心街へ行くには、少し距離があるようす。
帽子だ帽子。
帽子を求めて駅内をうろつく僕の目に留まったのは、なんと個人的にはあまり見かけないと思っている帽子(管理者サムネイル参照)だった。
さっそく2ヶ購入、魔法防御力はアップし、頭はさみしくなくなった。
頭がさみしくなくなって余裕の出てきた僕は、それまで騒ぎになっていた「駅近くでの警察の催し物」を気にすることもなくなっていた。
なんかやっていたのだ。
暑い中を、警察の人が。
まあ警察の人なんだから、暑くなくても何かはやるだろうさ。
やればいいさ。
そのくらい、帽子のおかげで普通になれた。
そして階段の陰に着ぐるみの頭が逆さに放置されていたことも気にならなくなっていた。
そのクマはポリスキャップ(本名不明)をかぶっている。
例の催し物の、何かだったのだろう。
いじりやすさ炸裂の一品である。
しかし気にならない。
むしろ他の階段の所にはないのかと問いたくなるくらい、それは普通だ。
さっきまでは帽子を探していたものだから、「帽子をかぶっている着ぐるみの頭をかぶれば、より帽子なのかもしれない」とか思ってしまったりしていた。
そんなことを思わせるな。
くまの頭部よ。
今となっては、「より帽子状態」ってどうなんだということも、それは特に何もないことでしかない。
熊本で「より帽子状態」になってどうなんだと言われれば、それはやはり特に何もないことでしかない。
次はレンタカー。
熊本駅の近くには、たくさんレンタカー屋さんがあるみたいだ。

ちょっとそこまで。3

正直なところ、僕は駅弁に対してかなり否定的だ。
冷えてるじゃないか。
できて時間が経っているじゃないか。
高いじゃないか。
特に幕の内のやろうこのやろう。
何をかしこまって個室に鎮座してんねん。
豪華そうにしてんねん。
ということで、とにかく駅弁というものは口にしていなかった。
その点、ブルートレインには食堂車両があって、それはそれは楽しかった。
高いことは高いのだが、とにかく優雅だった。
風景が動く。
すごい速さで動いている中を、僕らはテーブルについて暖かい物を食っているのだ。
子供ながらにその特別さは、未だに印象の薄れることがない。誰か同じことを言っていたような気もする。
速い中を食うことは同じなれど、駅弁は優雅じゃない。
それは作業だ。
と、悪態をついたところからもわかるように、新幹線で食べた駅弁がすごくおいしかったんである。
博多→熊本だったから、確か博多駅で買ったのだろう。
「焼き肉弁当」的なやつだったと思う。
これがうまかった。
これなら幕の内のやろうに挑戦してみてもいいかと思わせる。
自分のみならず、仲間の評価もあげかねないうまさ。
焼き肉弁当。
でも、パッケージすら思い出せぬので、さて帰りはどうしましょう。

ちょっとそこまで。2

ブルートレインに乗ったことがある。
今はなくなっちゃったんだっけか。
ブルートレインは楽しかった。
子供にとったら旅行だけでも大したイベントなのに、電車の中で寝ころがってしまうんだもの。
夢心地である。
しかし今回は新幹線だ。
6時間で着いてしまうとのこと。
これをあじけない派は、こう叫ぶ。
「ここは病院か!!」
一方、あじける派は、こう叫ぶ。
「とくに問題なし!!」
博多までは、2度車内販売を逃したこと以外は普通な感じ。
しかし博多から熊本までは、やたら豪華に。
座席は首のあたりがなんだか落ち着かないが、とにかくきらびやかだ。
のちにそれは九州新幹線というものであることがわかった。最近開通したらしい。
そんな話題性の高いものに乗っていたのか。
まったくわからなかった。
だから同じ車両にいた男の子たちとそのおばあちゃんは興奮してイスを回転させまくっていたのか。
男の子は興奮して、椅子の上に立ったりしていたのか。
おばあちゃんは興奮して知らないおじさんの頭をばしばし叩いていたのか。
ごめん後半2つストーリー上のスパイス。
とにかく、そんなホットトピックを知らずに乗ってしまったわけだ。
九州新幹線にとっては、僕はあじけないことをしてしまったのかもしれない。
しかしそのとき、僕は別のことで忙しかったわけでして。
→駅弁がうまかった。

ちょっとそこまで。1

どこか行くか。
思い立ったが吉日という警句を受け、早速手段を探してみることにした。
すると空路は無理。
陸路はどうにかという感じであることがわかった。
新幹線の予約具合の確認も兼ね、JRのその手を一手に扱いそうなエリアに進入。
とりあえず並んでみる。
かわいい受付さんが言うには、奇跡的に空いているという。
恐ろしく高価だったが、本当にかわいいなあ。
いやあ本当に。
うん。
ということでかわいい往路を購入。
ただ、その切符には高いことはわかるが、受付さんがかわいいことの形跡は全くなかった。
旅の内容が全く決まっていない。
でも目的地は決まった。
内容は気がかりだが、特に問題ないだろう。
ノープランでも、それがおもろいものにもなることを、僕は知っているのだ。
何でもその気になれば、たいがいおもろいことにはなる。
僕もこのブログでは何度「その気になった」ことか。
そんな妄想を抱き、なんとなく南へ。