水生昆虫

ここ数日、水生昆虫への想いが募ってきていた。

小さい頃好きだった「タガメ」という水生昆虫は、今見ると結構気持ち悪いことになってはいるが、それでも一度も手にしたことがない。

その無念さが、唐突に思い出されたのだった。

それでも、近所でそれを望むのは難しく、もう少しいそうな奴ら。

例えばコオイムシ。
タガメを小さくしたような虫だが、これも捕まえたことがない。
動画でわちゃわちゃ動いているさまをみると、捕まえたくて仕方がなくなってくる。

名の由来は「子を背負う」という、オスの背中に卵が産みつけられる生態からだが、どうもタイプしてみると「行為無視」となり、へー「こうい」「こおい」は同じことを示したいと「思われているんだな」と感心したり、俺は行為を無視したことなんてない、大概の行為はやってきたし、受け入れてきた。
なんて憤ったりした。

それらを求めて網を購入、いそうな場所をガサガサ、しようと思っているのだが、実際してみたのが一箇所。
とにかくいそうにない。

それでも自転車に網と虫かごを入れ、長い坂を下っていると、ずいぶん幼稚な、年相応ではない自分の姿を想像して赤面しそうになる。
が、下り終えた時、思ったのが「帰る時、この坂をあがるのはつらそう」ということだった。

これがもう少し若かったら「次にも同じような坂が現れたら、あがるのはつらそう」になるし、さらに若かったら「次に同じような坂があったら気持ちいい!」だろうし、さらにさらに若かったら「コオイムシ!コオイムシ!」になる。

帰路の上り坂と自転車の網は、僕を歳相応にしてくれるだろう。