区別

ルシフェリンを組み込むことができるのなら、もっと細かい情報を出す、例えばICタグのような効果を出すものを組み込むことはできないだろうかと思ったが、そうなるとそもそもタンパク質でICタグ的な、電波を受け取れるようなやつが必要で、そういうのはないのかと調べようとしたら猫が僕を見てきゃきゃきゃと鳴き、ああ僕は今狙われているんだなと猫じゃらしを投げる。
猫じゃらしは普通、猫の前でぺろぺろと動かすのが定石だが、こいつは投げられるのを好む。
うちの猫の中では珍しいやつだ。
ICタグを生体内で作ってしまうということには、どのようなメリットがあるのかと考える。
一番の効果は「物理的なICタグの挿入をしなくて済む」な気がするが、そもそもそうだ。
個体によって全部違う情報を提供するものでなくては意味がないことに気づいた。
指紋のような、マイナンバーのような。
それは不動であるべきだし、実現すれば母子健康手帳のフォーマットが変わる。
そんなものが「できていたら嬉しい生体ICタグ」でできるのだろうか。
「人間です」
みんなこの情報しか持っていないようなICタグ、いらないのではないか。
いや待てよ。
犬という生き物がいるが、あれはチワワからセントバーナードなど、だいぶ範疇が広い。
ある生物学者は「化石としてチワワとセントバーナードが出てきたとき、同じ種類であるとは判断しないだろう」と話したことがあった気がする。
この観点を持って来れば、上記の生体ICタグも意味が出てくる。
すなわち、短い期間で爆発的に増加した人類が今後絶滅したとき(それは有用な示準化石になると、なんかの本にあった)、後世の進化学者がより助かる。
タグリーダーさえあれば、どんなに骨格が似ていない人たちであっても、ああこれはかの有名な人間だね、と判断できるわけだ。
有用。
猫は戻ってこない。
あいつは投げられた猫じゃらしをどこかに持って行ってしまうので、しまうのが大変なのだ。
あいつのタグは「猫です」となるか。
しかしそれだけでは少し惜しいことを考えると、やはり生体ICタグはユニークでなくてはならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です