リズム

「ちくたくてくは みつごのぶただ」という児童書をご存じだろうか。
内容は「ちく、たく、てく」という三つ子の豚が小学一年生になるという、絵本のようなものだった気がする。
そして冒頭は、確かこう。
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ちくたくてくは みつごのぶただ
今年の春から 一年生だ
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「あんたがたどこさ」というわらべ歌をご存じだろうか。
内容は「熊本のせんば山には、猟師に撃たれてもうまいこと化かす狸がいるんだよネ」と熊本出身本人か、彼に尋ねている人かの歌のように聞こえる。
ともかく、歌詞の一部を抜粋してみる。
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せんば山には狸がおってさ それを猟師が鉄砲で撃ってさ 煮てさ 焼いてさ 食ってさ それを木の葉でちょいと隠(かぶ)せ
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ところで、最初の「ちくたくてく」は韻を踏んでいるような、リズムにのって読むことができる。
ちくたくてくは みつごのぶただ

今年春から 一年生だ
そして、「あんたがたどこさ」にも類似したリズムがある、と思っている。
したがって、幼少の僕はリズムにのって、こう言っていた。
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ちくたくてくは みつごのぶただ
今年春から 一年生だ
それを猟師が 鉄砲で撃ってさ
煮てさ・・・
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幼少なりに、この内容はおかしいと気づかないことはないと思うのだが、そこはリズムの恐ろしいところで、リズムがしっくりきてたら内容よりもそれが重んじられたのだろう。
それにしても残酷なこの仕打ち。
しかし大丈夫、ちくたくてくは撃たれても煮られても、ちゃんと木の葉でちょいと何かうまいことやり過ごした、とかんがえることができる救いが、ある。
もちろん、ちくたくてくが豚を捨て、狸一年生だったら、の話である。

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