付喪神

いろいろ忙しくしていると、ふと何かその時は思い浮かばなくていいものが頭の中に現れて、困るときがある。
こないだ、「ASIMO in 付喪神」というのが浮かんだが、「ASIMO」はいわずと知れた本田技工の人型ロボットで、付喪神は日本古来から伝承されている、物が長い時を経て魂を得たもの、あるいは物に宿る魂、みたいなことだった気がする。
このキーワードを普通に考えると「ASIMOにはもう付喪神入っちゃってる」となるわけだが、もちろんこれは「AIBO in 付喪神」でも大丈夫で、「ファービー in 付喪神」も問題ない。
やはりASIMOやAIBOなどは先見的な存在として卑怯ながらも「いじりやすく」、色々考えると面白い。
ぱっと思いつくのは「餃子の餡 in ASIMO」だろうか。
一方、「ダイソンの扇風機 in 付喪神」はなんか怖い。
「ダイソンの扇風機が、いくら位置を変えてもある一カ所にだけ風を送るんです」
そこに霊がいるという案配である。
また、先見的ではないが「エレベーター in 付喪神」なんてのは、B級ホラー映画みたいだ。
やはり「付喪神」が入ってもらいたいのは生き物の形をした物であってほしい。
ところで、そもそも「付喪神」というのは「in」で表現できるものなのだろうか。
前置詞的な観点の話になりそうだが、となると「付喪神」というのは一体何なのか、というのも定義付けが必要そう。
どちらも手に余る内容だが、とりあえず「付喪神」のことを英語で喋らなくてはならなそうなシチュエーションは、避けて生きていきたい。

横顔

冗談ではなく、「おじゃる丸の横顔」には目を見張った。
知っている人も多いだろうが、なかなか神秘的だ。
とりあえず、輪郭を描いたらできた、という状態ではない。
甘食みたい。
しかし、僕はその奇怪な形状に驚いたというよりは、「そうなっていましたか」と妙に納得してしまった。
本来、こね途中の生地のようなあの形にはびっくりした方がいいような気がする。
目の前におじゃる丸が現れても、アニメのキャラクタというブランドよりも、その顔の形に恐怖すると思うから。
着ぐるみ。
着ぐるみも心配だ。
あるのかは分からないが、どうなっているんだ。
子供を守らなくていいのか、あの形状から。
しかし納得してしまった。
そういうことなら仕方ないと。
こうやって、あきらめながら人は成長するのかもしれない。
だがこの場合、僕があきらめたのは一体何なのか。
それを思い出す事もあきらめなければならなそう。

毒りんごについて

なんとなく気になったのが「なぜ毒ケーキではなく、毒りんごなのか」であって、それは白雪姫の話。
何か毒が仕込みにくそうじゃないだろうか、りんごは。
表皮に毒を付けるのは、白雪姫が「りんご丸かじり派」であることをちゃんと知っていなくてはできないことだ。
一方、中に仕込むのだとしたら切って皿に盛りつけるパターンもあるから、少なくとも色が付いていてはまずい。
もちろん、「いただいもので何ですが、ご一緒にどうですか」も考えられるから、その点を含めてもりんごは良くない。
ケーキなら、臭いや色もごまかせそうだし、いいんじゃないだろうか。
と、ここで気付いた。
悪い魔法使いの悪さっぷりを。
要は、魔法使いは毒を口にして息絶えるところを目の当たりにしたかったのではないだろうかということだ。
りんごなら「目の前で食べる」可能性が、少なくともケーキよりはある。
姫が「ケーキ丸かじり派」でないことは魔法で判明したのだろう。
さらに「りんご丸かじり派」であることも把握できれば、あとはりんごを渡して、ちゃんと死亡するところを見届ければね、というかなり悪い企みがあることに気付く。
この考えが正解であるなら、確かにケーキよりもりんごのほうがいい。
だが、よりいいものは「おはぎ」だろう。
りんごはずっと手に持っていられるが、おはぎはそのべとべとさが気になって、「ちょっと先食べていい?」という感じになりやすそうだ。
そして、この流れの終着点はおそらく「ソフトクリーム」だろう。
毒ソフトを渡した後、少しだけ世間話。
向井理のかっこよさの話でもすればいいのである。
そうすればたちどころに相手の口の中に毒が入るであろう。
まあ、当時としてはりんごが適切なのだろうが。
となると気になるのが、「姫はりんごをもらってからどこで食べたか」である。
もらってすぐ食ったのか、小人達が帰ってくる前に少しだけ口にしたのか。
こないだのロバの耳の件もあったが、童話は何か、細かいところがもう忘れてしまっていていけない。
そもそも細かすぎるのかもしれない。