歯ぎしりのくだり、少し遠いの巻。

うちの猫が、もう16歳くらいになるのだが、歯ぎしりをするのである。
こう、ホットカーペットに寝転がっていると、猫がよってくるだいたい10分ほど前から寒くなってくる。
やはりカーペットに接している部分とそうでない部分の温度差が激しいからだろうか。
余計に寒い。
そうなると我が家も大したもので、近くにフリースの小さい掛け物が用意されている。
でもこれを掛けるのなら、その前に必要なものを身近に置こうと、茶を入れたりタブレットとその充電器。
軽いスナック菓子などを用意する。
こうして、僕のまわりは必要なものが京都の町のように整然とならび、商いをできそうな状態になる。
そうしてから10分後くらいに、猫が来る。
なんと、我が家には恐ろしい事に「こたつ」の文化がない。
これは以前からずっとそうだったというわけではなく、ずいぶん昔は、冬にはこたつがあったのだ、うちにも。
しかし、あまりに「家族が動かなくなる」という至極当然の現象により母親が激怒。
以来、住人がこたつに触れる事はなくなった。
猫は来ると毛繕いをし始める。
自分の体から甘い汁でも出ているのか、というくらい綿密に、そして毛の色が変わるくらいにだ液が出ている。
まず、猫は甘い味が分からないと聞いた事がある。
本当だろうか。
「甘さ」は「栄養」の味である。
確かに「苦い」「すっぱい」など、体に害のあることを示す味覚と比べてみたら、それを感じ取る機能の優先度は低いかもしれない。
しかし、昔飼っていた猫は「あんこ」が好きだった。
「あんこ」はもう調味料として砂糖の代わりに使用して良さそうなくらい甘い。
「味はしないけどとりあえずなめといた」可能性もあるが、この例からするとちょっと「猫は甘さが分からない」には納得できない。
とはいえ、これ以上の論はないため、おそらく隣に来た猫の体からは甘い汁は出ていないのだろう。
いや、甘い汁は出ているかもしれないが、彼女はそれに気付く事なく、ただなめているのだ。
そういえば、猫が自分の体をなめるのは「日光浴でできたビタミンを摂取している」というのも聞いた事がある。
これもどういうことなのか。
確かに、日光浴は体に良いと聞く。
しかしその理由は「ビタミンが分泌される」ということだったのだろうか。
僕にとってビタミンはほぼ「野菜」が作り出しており、動物性の食品でそれが摂取できるとしても、それは野菜が作ったものを溜め込んでいるだけと考えており、もうカゴメと八百屋のプロパガンダは甚だすごい。
しかし、そんなビタミンが、動物から産出されるとは。
少なくとも猫からは、にじみ出ているということなのだろうか。
すごいぜ、猫。
ということで、まあ何かと言うと、年経た猫が枕元で歯ぎしりをする様は、もう化け猫以外の何物でもなく、ビタミンを摂取するために猫をなめる人がいるとすれば、もう化け猫に取り付かれた人以外の何物でもないのです。

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