カモネギ

いいことが重なる事、いいことがさらにいい事を引き起こすさまなどを「鴨が葱を背負ってくる」というらしい。
鴨が葱を背負ってくるのは、大変助かる。
しかし、そこからどうするのか、という気がして仕方がならない。
「あーあそこに、葱背負った鴨がいるね」
「ほんとほんと」
「あれ、今目の前通った鴨、何か背負ってなかった?」
おそらく、このことわざを作った人は、上記のようなシチュエーションではない。
もう少し根源的な内容を託したはずなのだ。
すなわち食欲であり、鍋やそばを想像していた。
しかし現在、鴨が葱を背負っていたくらいでは、それを捕らえて食べてしまおう、という人はあまりいないと思う。
今よりも食事事情が厳しかっただろう、なんか昔。
そのころにはこのことわざを聞いただけでよだれほとばしる世間だったかも知れない。
あるいは、僕が思っている以上に鴨と葱の鍋は愛されていたのかも知れない。
ともかく、僕にしてみれば「鴨が葱を背負ってくる」というのはちょっと、「踏切の警戒標識がいまだ汽車」というのに似て、ちょっと違和感を感じる。

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