水換え

いつものようにカメの水を換えようと水槽に近づくと、そのうちの一匹が水面近くで大暴れしている。
これは「誰か近くに来たから、えさがもらえる」と思っているから出る行動らしく、うちで飼っているネコが近づいてきたとしても同じ行動をとる。
飼われているカメは、「何か近づいた」→「えさ」という至極簡単な構図から成っている。
ゆえに、誰もいないときにいきなりカメが水面近くで暴れ出したら、それはもう霊が来ていると考えて間違いなく、こうなると「カメにしか見えない霊」というのは霊としてどうなのか。
あるいは案外幸福を呼ぶ霊なのではないかと考察することもできなくない。
カメは猛烈に暴れ水をかき、もう少しがんばればそのまま宙を泳げるのではないかというくらいだ。
体の半分は水面から出ている。
そのさまをみて僕は、カメが空中を泳げなくて本当によかったと思った。
近づいてきてくれても困るのだ。
これはカメもそうだろう。
近づけても困るのだ。

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