聞くにたえない。

以前、「てふてふ」を本当に「てふてふ」と読みたい場合のことを考察した。
現代の日本では、国語の授業で「てふてふ」を「ちょうちょう」と読むように強要される。
それを守らないと、テストはゼロ点だし、「あいつ、てふてふって読むことで目立とうとしている」と思われる。
結果、日本には「てふてふ」というものは存在しないことになっているのだ。
小説や漫画などで時折、見られる表現がある。
「聞き取れなかった言葉、何を言っているのか分からない言葉」を記号の羅列で表すものだ。
確か手塚漫画ブラックジャックでは、あるシーンの罵詈雑言は「$#(|\#”=~~!!」みたいな感じだった。
もちろん、こういうのを「×××」で表現する小説もある。
このときは簡単だ。
「ばつばつばつ」とか「ちょめちょめちょめ」でやり過ごすことができる。
「ちょめちょめちょめ」でやり過ごした場合、別の問題があるけど。
一方の「$#(|\#”=~~!!」的なもの。
国語の朗読で「$#(|\#”=~~!!」が出てきた場合、どう読めばよいのだろうか。
恐ろしく皆無だろうが、もしかしたら犯罪的理由で「$#(|\#”=~~!!」な内容のエッセイを載せてしまうかもしれない、教科書の会社。
そんなときに備えるのだ。
例えば現状で「成田、次の段落読んで」と読み始めた文章の中で。
「$#(|\#”=~~!!」があったらどうなるだろう。
僕は、そのときの教室の感じをイメージすることができる。
成田「私は雨が降ってきては大変と思い、水に溶けることで有名な向かいのおばさんに声をかけました」
成田「すると、向かいのおばさんは慌てた様子で、私にこう言ったのです」
成田「えーと、ドル、シャープ・・・」
先生「ああ、そこはいいよ。次の「もう唇が溶けてる!!」のところからで」
確実にこうなるのである。
先生の、そこはいいよ発言。
このときの教室の雰囲気って、結構いやな感じがする。
ああ、例のところか。
どうせ読めないんだから、なんかもんやりしてしまうだろう、と。
そもそもこの雰囲気は、このフレーズの入った授業であることが分かった瞬間から出てきているだろう。
そして「成田、次の段落読んで」と先生が指摘したとき、ピークに達する。
成田にあそこを読ませるなんて、先生も人が悪いよ。
それは中学校における「高村光太郎のDT」問題に類似している。
「てふてふ」の場合は、まだ読み方がある分、ましだ。
「ちょうちょう」でいいし、カリキュラム上等で「てふてふ」と読んでもいい。
しかし「$#(|\#”=~~!!」はどうにも読めない。
そして読めないことが分かっているのにそれをあてがわれる「もうなんだかスベりました」の雰囲気。
こういうのを網羅してもらいたいんだ、現代国語には。

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