遠投

メモに「カメを遠投」と書いてあった。
最近忙しくはあるので、そういうことがメモにあることもあるだろう。
ただ、今このメモをいかがわしく感じるのはカメのスタンスを僕が好んでいるからだけど、少なくともメモったときは何かしら思うことがありしたためた。
そのはずなんだ。
マリオだろうか。
マリオは確か、第3作で初めてカメを持つことができた。
そしてシュート!。
遠投と言えなくもない行動をする。
いや、なんか違うな。
違う。
そうだ。
遠投されるカメの気持ちが気になったような。
カメに「遠投されてる」と思わせる遠投が、本当の遠投だ。
そう思ったのだ。
こういうのもあったかもしれない。
例えば円盤投げ。
あれは槍投げとかと同様、投げた直後に「遠くへ飛べ」を意味しなくもない叫びを発する。
ここで、投げるのが円盤だったら、円盤自身は「遠くへ飛ぶすじあい」はないだろう。
動力を持たないし生き物でもないから、あくまで遠投者の実力を素直に示すだけだ。
しかしカメならどうだ。
生きているのだから、もしかしたら遠投者の「遠くへ飛べ」を感知できるかもしれない。
それは、カメの素質にもよるだろうが、「遠くへ飛ぶすじあい」が発生する可能性を示唆している。
そのとき、70mあたり先を目指して落下しつつあるカメは、どんな行動をする、あるいはしないだろう。
メモを見ながら、「生き物だったら感知できるかも」というところに分の悪さを感じた。
なにせ、マリオはカメを踏んでは投げ踏んでは投げしているし。

安全喪失感甘受

何となく「ツタの絡まる電車」のイメージが出てきた。
映画か何かであっただろうか。
まず、涼しそう。
流行のグリーンカーテンっぽいし。
そして走りにくそう。
そもそも走れるだろうか。
そして走れたとしても、ツタが車体から外れそう。
そのさまは「襲ってきたツタのトンネルからどうにか出てこれた電車」みたいになるかもしれない。
と、実用面はさんざんだけれども、見た目はなんかいい。
いつぞや書いたことあるかもしれないが、僕は人工物が自然のものに囲まれる、あるいは浸食される。
そういうイメージに弱い。
群青学舎という漫画がある。
これの、ある回の場面がいい。
教室が草花で覆われるそのシーンは、もし誰かがこの漫画について僕に尋ねてきたとき、こう答えさせるに十分な印象を与えた。
「僕にとって群青学舎とは、1巻の20、21ページの見開きです」
「僕にとってパンチパーマとは、ホコリ髪の毛を絡めとる常備型クイックルワイパーです」
他にもそういったものはある。
古いところだと「猿の惑星」か。
何気にちゃんと見たことないかも知れないが、ラストに例の人工物を見いだして「ここ地球じゃん」が判明するシーン。
別に伏せなくてもよかったが、とにかく人工物が埋まっていてくれてよかった。
ちょうどの埋まり具合なんだ、あれ。
あれ以上埋まっていても、より出ていたとしても僕の「人工物が自然のものに浸食される」感覚は反応しなかっただろう。
ほんと、ちょうどだあれ。
最近だと、ラピュタの空中都市もそうだし、ファイナルファンタジーの10あたりでも荒廃した都市が出てきた。
世界樹の迷宮ではビルが緑まみれだったし、こないだいった北海道では錆びた鉄桶に守られるようにたんぽぽが一輪咲いていた。
全然読まないが、ローテクノロジーを扱ったSFなどにも垂涎のシーンがありそう。
廃墟の好きな人がいるが、それと似たようなことかもしれない。
廃墟に出向かない分、よりお気楽な喪失感甘受とも言えそうだが。
では最後、廃墟の好きな人へ。
「廃墟に行くときは猿の惑星の猿を。彼らの足は、ホコリ髪の毛を絡めとる常備型クイックルワイパーです」

浸透圧と匠。

手作りジャムと聞けば「ジャムが入っている瓶も手作りなのかよー」と恋する中2、いやカレーのオカワリを狙って早食いする小4、居間にあった週刊誌で初めて異性の裸を目の当たりにした小3。
いや申し訳ない、足して9となる子供たちに。
僕も経験がある。
恐ろしい性質の挑発行動を。
まあそれはいいとして、瓶はたいてい手作りじゃないだろう。
例えどこかの匠の、持ちやすさ抜群の瓶だったとしても、例の「手作りなのかよー」は、その材料から元素、さらには分割不可能なつぶつぶにまで続いてくだろう。
ここで「手作りなのは、せいぜい我々、生物だけだ」ともなれば締まるのだろうが、ざんねん。
どうもそうではないらしく、君や僕をどれほど細かく砕いても上記の手作り呪縛からは逃れられない。
思うに、元素だとか原子だとか、かなりちっこいものが認識され始めてからそう遠くないころ、人々は思いのほかロマンを感じたのではないだろうか。
今食べたパンの中に、いにしえの聖者が食したパンの一部が含まれているのではないか。
窓から入ってくる風、マドンナのにおいがする!!。
お前、よくみたらフカキョンにそっくりだな。
宇宙が昔あっつあつだったとか、今でも広がっているとかのマクロロマンに勝るとも劣らないロマン。
そして今、その手のつぶつぶが、どれほど地球の重力に打ち勝ち宇宙へ放たれていくのか。
あるいは宇宙から地球にどれほどのつぶつぶが降り注いでいるのか。
そんなことに思いを馳せ、行き来するつぶつぶへメッセージのひとつでも託したいと思っただろう。
「これを作った人に、いい仕事してるって言っておいてください」

味玉ジェネレーション

「このからあげ、味がよくしみ込んでいておいしいね」
「味玉だったんだろ」
僕としては、ここからである。
例えば飲んだ後の定食屋でのことだったとする。
ここからどうなるか。
理科を思い出してもらいたい。
確か鶏卵の黄身はひよこではなく、養分だったはずだ。
そして味玉で一番味がついていそうな白身。
これもひよこではない。
生卵を割ったときの、黄身に点とついているものがある。
胚と呼ばれるそれが、ひよこになる権利を持つものなのである。
つけだれに漬けたとしても、成鳥に味なんかつくものか。
味玉でも、こんな立派な鶏肉にまでなれるのか。
その鶏が生んだ卵は、何もしなくてもうっすいだし巻き卵になるんじゃないのか。
とりあえずラーメン屋の味玉に「胚」を探そうとする自分を思い、ゆっくりと箸を置く。
そうなるとボケた甲斐があったというものだが。

本のあらまし。

「あ、ばあちゃん?。オレオレ」
「はい、どなたですか」
「ああオレだって」
「・・・へえ、ゆかりんとこの?」
「そうオレ」
「どうしたんだい、久しぶりじゃあないの」
「そうなんだけど実は、ちょっと困ったことになっちゃって」
「なんだい」
「実は今、ちょっと交通事故起こしちゃって」
「ええ、体は大丈夫なのかい」
「ああ、オレも相手も大丈夫なんだけど・・・」
「どうしたんだい」
「ちょっと車の方をずいぶん壊しちゃったんだ」
「へえ」
「そして示談ってことになったんだけど、今お金なくて」
「たいへんだねえ」
「で、お金貸してくんない?」
「いやだねえ」
「え。いや今かなり緊急なんだよ。口座に20万円振り込んでくれればいいから!」
「いや、だめでしょう。ほら今、詐欺みたいなものもあるじゃない」
「急ぎなんだってば!」
「いやいやいやいや。事故も示談も本当かもしれないけど、あんたの電話、テレビで見た詐欺の手口と同じだもの。怖いわよ」
「だからゆかりんとこの息子だって!」
「ほら名前言わない。しゃべり方も違うような気がするし、声紋も違うんだろうねえ。たぶん指紋も顔つきも、たかしとは違うんだろうね」
「ほら、たかしだって」
「いやいやいやいや。もう警察に相談しようかねえ」
「あら、切れちゃった」
「どちらにせよ、詐欺にあわなくてよかったわ」
「入金を拒否しつづけられたのも、あの本のおかげね」
のんのんばあとオレ

チョコミントについて。

サーティーワンのアイスがトリプルになるとくれば、心配なのは1個目と2個目、あるいは2個目と3個目の接合部分の混じりゾーンのところだ。
これが例えば、バニラとチョコだったらまだいい。
しかしフルーティなやつとチョコミントだったらもう食べる気失せる。
そもそもチョコミント自体が混ざっちゃいけない2トップが混ざっているだろう?。
だから、フルーティなやつとチョコミントの接合部は、もう混ざり過ぎだ。
しかも一番上がチョコミントだったら、どうしよう。
一番上から垂れるわけだから、他2つが汚染されてしまう。
逃げろ!!。
でも逃げてもアイスは手に持っている訳だから、逃げても逃げても逃げ切れない。
僕は今でもチョコミントから逃げ切れてはいる人生なのだが。

ひかりごけについて。

「鈴木先生」が面白かった。
絵とか怖いけど。
その何巻かのときに「ひかりごけ」の劇をやるというシーンがあった。
いつか文庫本を買った気がする。
全然内容を覚えていなかったので、原作を読もうとそこらをあさってみたが見つからない。
そう言えばなんで文庫本を買ったのだろう。
正直、タイトル買いするようなものではない、というとうそになる。
案外、こけとかきのこは好きだ。
ipod touchを持っているが、おそらく一番使用しているアプリは「日本のきのこ」とかいうやつだ。
分類とかは難しいのでよくわからないのだが、きのこの写真がきれいなので暇なときに見てしまう。
「きのこが朝露で光る、すがすがしい高原の朝」
そんな感じの画像が、特にきのこが好きでなくても心にぐっとくる。
「ひかりごけ」もそういう背景のもと、買ったっけか。
「こけが洞内を薄く照らす、黒洞々たる洞窟の朝」
洞って字、多いね。
しかし「日本のきのこ」によると光るきのこ「ツキヨタケ」は毒性を持つらしい。
毒はいやなので、それを連想する「ひかりごけ」をタイトルから買ったとは考えにくい。
ではその内容だろうか。
「ひかりごけ」というと、どうしてもクローズアップされるのがカニバリズムだ。
その一見ショッキングな事柄に興味を持ったから買ったのだろうか。
でも私見だが、カニバリズムの何たるかを「ひかりごけ」に求めるのは致命的にだめだ。
もちろんその意味は多岐に渡るのだろうが、どちらかというと民俗学や世界で起きている該当事件の背景、チンパンジーや枯草菌の論文とかミイラを薬用として使用していた歴史とか。
こちらの、今一生懸命調べたばかりのやつのほうが、よほど有用だろう。
「チンパンジーが手のひらで目を隠してくちびるの裏を見せる、話し声のしない朝」
そういえば「ヒカリゴケ」というお笑いの人がいる。
何か関係があるだろうか。
どうであれ、文庫本は見つからない。
「へえ黒洞々ってこくとうとうって読むんだ、探しものの見つからない朝」

店ができている。

よく行っていた中華屋さんが閉店したので、残念だ。
チャーハンがおいしかったのに。
しかしその建物を利用して、また別の何かの店がやる様子。
工事の人がきれいに建物を塗装していた。
2日後、その塗装を見た僕と知人の意見は同じだった。
「あの中華屋さんは、沖縄そばの店に生まれ変わる」
詳細は省くが、複数人が「沖縄」を連想する。
そんな塗装の店が、いったい何なのかは、まだ分からない。
僕はけっこう、パクチーが好きだ。
マツモムシを連想させるにおい、味にはノスタルジックなものを感じる。
いつぞや書いたけど、それは「昔マツモムシをとった池の周りに松の幼木みたいなのが生えていた」ためで、僕にとってマツモムシと松は切り離せず、松のような独特のフレーバーを放つパクチーとマツモムシも、切り離せなくなってしまったためである。
例の店が、八百屋なのではないかという噂を耳にした。
おいしい中華屋が、八百屋に。
ちょっとそれはないんじゃないか。
沖縄を連想させる塗装の八百屋になってしまうのか。
食べにいく所ではないのか。
もし八百屋ならば、せめてパクチーを売っていてほしい。
確か経堂とかにパクチー専門店があるらしい。
行ってみたいがめんどくもある。
この中華屋跡地ならそんなめんどくない。
パクチー専門店とまではいかなくても、それを売ってくれるのなら、許そうじゃないか、八百屋を。
いや待てよ。
なんだかパクチーはそこらの八百屋には売っていないかのように書いてしまったが、本当にそうだろうか。
売ってるんじゃないのか。
もしそうだとしたら、できる八百屋は結局普通の八百屋で、僕シフトの売りがないことになる。
やっぱり八百屋はいやだなあ。
いったい何なんだ。
お前はいったい何の店なんだよう。
そんな沖縄カラーの店が、いったい何なのかは、まだ分からない。

棒高跳

「圧倒的に短い棒が用意された棒高跳び」というものがあったとする。
たぶん、綿棒とかだ。
綿棒が棒高跳びの「棒おきば」にあって、それを一本手に取ると、5mとかの高さに設置されたポールを超えるべく、走り出す。
そしてその瞬間、綿棒を地面に叩き付けてジャンプ!!。
もちろんこれでは、誰も「上のポールを飛び越えようとしている」とは考えないし、そもそも棒高跳びだとも思わない。
でも一度人類が滅びて、「棒高跳び」文化がその言葉以外消え去ったのち、それを再現しようとした未来の人たちが現れるとしたら。
そして「棒高跳び」という言葉を記した文献近くにたまたま綿棒があったなら。
おそらく上記のようなこと、もしくは綿棒をポールに向かって投げる、というようなことをやるだろう。
そしてこう思う。
「昔の人は綿棒を叩き付けた反動であの高さまで飛んでいた」
「この軽い綿棒をあの高さまで投げられる、肩の強さだった」

少し伸びたら

人形には霊的なものが入り込みやすいと言う。
真偽は全く分からないが、分からない以上そうなんですかと当たり障りのない感じになってしまう。
しかし気になることもある。
どんな人形にでも入り込めるのだろうか。
よくあるところの「日本人形」のたぐい。
ただでさえ良く出来ていて怖いのに、そんなものが入ってしまっては大変だ。
と、逆を言えば良く出来ているからこそ入り込めるのかもしれない。
「きれいにやすりがかけられ、エアスプレーで仕上げられたノーベルガンダム」
ガンダムに詳しい人なら、今回の着地点がわかっただろうから、着地点替える。
良く出来ていると言えば「きれいなプラモデル」だ。
プラモデルの枠と部品が引っ付いている箇所をやすりできれいにし、目立たないようにする。
エアスプレーできれいに塗装する。
きれいなプラモデルは、いじって遊ぶには惜しいくらい。
だから、冷却フィンが少しくらい伸びたって、むしろそうなんだ、とくらいになるかもしれない。
うーん、リアルロボット。
「きれいにやすりがかけられ、エアスプレーで仕上げられたガンダムナドレ」
前の着地点、近っ!!。
「ターンエーガンダム」「ユニコーンガンダム」「ドーベンウルフ」「アッグガイ」
あーもうガンダムには伸びたらいいところいっぱいあるな!!。
ということで、プラモデルに霊は入り込めるのだろうか。
あるいは入り込んで、髪やらひげやら角やら紐やら触手やら、いいとこ伸ばしてくれるのだろうか、ということである。
おまけ
「店頭に立つケンタッキーおじさん」
これは入り込む理由がないかも。
せっかくひげが伸びたとしても、腐食とみなされそうだから。