視覚的に小麦粉をまぶした体

女子に「花にくわしいのっていいね」とも言われれば、つね日頃ポケット草花図鑑を持ち歩き、花びらを食べ、根の形を見るために穴を掘る。
香りをかぎ、立て札をみ、植えた人に聞く。
そうして種類を見極めたくもなるが、それほどはやりたくない。
ただ、知ってる花がたまたまあった、というくらいだ。
そんな僕から見ても、そのキンギョソウはとにかくぷりぷりしていなかった。
遠くにあるからだろうか。
運転中に赤信号で止まった交差点の、向かい歩道に植わっている植物。
花をつけているのだが、何の花かがわからない。
「あれ、キンギョソウじゃない?」
僕らが思っていた事を助手席の者が発する。
しかし後部座席から「ちょっとぷりぷりしていないんじゃない?」の声。
僕もそうだと答える。
結局、その花が何かは分からなかったが、ひとつ言えるのは「ぷりぷりしていなくちゃキンギョソウじゃない」ということ。

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