北海道旅行1

始発だというのに、思いのほか乗客が多い。
それでも空席の目立つ車両で、僕はPSPで眠気を殺す。
周りが明るく照らされ始めたころ。
駅のホームで体操をしているおばさんを見かける。
モノレールから眺める海は朝日で輝き、それが風でうごめくものだから全く飽きない。
ずっとそれを見ていたら、ある本に「日の出と日の入りの映像は、違いがわからない」と書いてあったことを思い出した。
確かにそうかもしれないと、今が早朝である事をつとめて忘れ、その上でモノレールからの風景を見ようとした。
しかしどうしても早朝だった。
車内のけだるさがそうさせるのだった。
北海道旅行である。
何らかの裏取引を成立させ、飛行機の窓側に陣取った僕はその2時間後、タクシーで13000円ほど払う事になる。
あほである。
普段タクシーを使わないので、相場が全くわからなかった。
新千歳空港から札幌まで、そのくらいかかったのである。
高速みたいな道路にタクシーが入ったとき、僕は覚悟を決める。
俺は、北海道のタクシーのいいお客さんになってしまったよ。
タクシーは、こんなにお金がかかるのかい運転手さんや。
俺は、北海道のタクシーのいいお客さんになってしまったよ。
仕方がないので、僕は昆虫図鑑アプリを閲覧、ゲンゴロウが北海道にも生息しているらしいことを知った。
ゲンゴロウ。
同乗者はぱっとその姿を思い出せなかった。
それもそうだ。
現在「だいぶ少なくなったよね」具合を、環境省が太鼓判を押している。
なんか文章が変だが、仕方ない。
いいお客さんになったんだもの。
そういえば昔、僕はこのゲンゴロウを飼っていたことがある。
北海道旅行である。

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